3度目の正直、那須岳登山
久々にやらかした。
那須塩原駅のトイレに、携帯電話を忘れるっていう、失態。
那須岳ロープウェイ口行きのバスに乗ってから、携帯電話を置き忘れたのに気づいた。
今日は仕事仲間のおっさんと、
大学生アルバイトのS君と3人での登山だ。
気付いてすぐ、駅の忘れ物窓口に電話をしたら、無事に携帯電話は発見され、一安心。私一人の山行きなら、バスを降りて戻ったが、
皆、楽しみにしている山登りの予定が遅れてしまうし、風景写真は2人にお任せ出来るし、誰かから連絡が来るとしたら、仕事関係だろうし、
携帯はそのまま預かって頂き、帰りに取りに伺う事にした。
もうここで、ドジを踏んだので、
今日の山行きは、皆、何事もないよ!
と、張り切ってロープウェイの乗り口に向かった。
登山を始めて、那須岳は3回目だ。
6年前、登山を始めてまもない頃に那須岳に来た時は、強風注意報が警報になり、救助隊が入ってきて、登山禁止となってしまった。30分も登らないうちに、あえなく断念。
2回目は、それから一年後の5年前。那須岳の中でもニセ穂高と言われている岩山の朝日岳を目指していた。この日も強風だ。警報まで行かないまでも、慣れていない岩山で強風に吹かれ、びびってしまってこの日も下山。
そう、2回行っているのに、山頂を踏めていない山なのだ。(後から知った事なのだが、那須岳は風の通り道で、常に風が強いそう)
いつかリベンジしたいと思いながら、5年も経っていた。
今回は、大学生アルバイトS君の企画。
たまたま私も今日お休みだったし、リベンジしたい山だったので、ご一緒させていただいたのだ。
リベンジに燃えているところに、携帯電話を忘れ、シュンとなっている心と同じ、山は雲の中。
今日は、天気予報が当たって広く雲。
ロープウェイのアナウンスが、
紅葉が始まったのに、曇って見えなくて残念です。
と、伝えている。
「あー、今日も風が強くて、寒いのか?」
ロープウェイの中で、皆上着を着込んでいる。
上に上がるに従って、寒くなって来たので、私も上着を着込んだ。
ロープウェイが、一度、大きく揺れて、山頂駅に到着すると、目の前は雲が晴れて、真っ青な空が広がっている。
ロープウェイ内、歓声が上がる。
ロープウェイを上がったら、
雲の上にぴょんと出た。映画「天気の子」の一場面の様。
雲の上は、静かで、すき通っておだやかだ。
そして、雲海。
ふわぁ〜と、飛んで雲の上にジャンプしたら、ふわーんと跳ね返りそうな雲海。そして空の色。
「きれー、きれい!」
何度、叫んだろうか?
さっきの冷たい風は何処へ行ったのか、
ぽかぽか陽気で、これから登る山をくっきりきれいに見せてくれている。
一回着込んだ上着をしまい、山頂目指して登り始めた。
那須岳は、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳3つの山の総称で、那須岳と言う山は実はない。
S君が計画してくれたルートは、茶臼岳に登り、火山の火口をぐるりと回って、峰の茶屋跡まで一度下り、朝日岳を目指すルートだ。
まず、茶臼岳を目指して登り始める。標高を上げるほど、視界が広がり雲海が広がっていく。
山頂からは、下の方の山の紅葉と雲海と山の岩肌と、とてもきれいだ。
360度見渡せる。尾瀬の方までくっきり山が見渡せる。本当にいい天気だ。
今日は、朝日岳登らなくても、
この景色が見れただけで、もう十分。そう思わせる景色。
写真をたくさん取り合って、
私は撮ってもらって、のんびりしてしまった。
下の方から、山肌を撫でる様に、雲が上がってくる。
朝日岳が雲の中に隠れないうちに、さぁリベンジだ。
茶臼岳を下って、峰の茶屋でお昼休憩、
男子チームはカップ麺に沸かしたお湯を入れて食べている。
私は今日はサンドイッチ持参、入れたてのコーヒーと一緒に頂いた。
雲が上がってくる。
尖った岩の朝日岳、その山頂をたまに撫でにくる。急げ急げ!
荷物をまとめ、リベンジの朝日岳を目指して歩く。
真ん中のちょこんとでっぱった所が朝日岳。
ここからは、アルプスにいるのかと思う様な岩の多い道を急登りしていく。足元が狭く下は切れ落ちていて、ヒヤヒヤドキドキの道。
でも、風がないとこんなに歩きやすいの?
同じ山を歩いているとは思えない。
経験を積んで、私の体力も技術も上がったのかもしれない。
S君は、写真を撮るため、私達の後ろへ行ったり、前で構えたり。身軽に動いている。
男の子だよなぁと思ったのは、登山道から外れて、
「あの岩、登って来ます!」
と言って、尖った岩によじ登り、楽しい!と言っているところ。
ゴロゴロした足場の悪い斜面を登ってやっと
朝日の肩と言われる、朝日岳の直下に着いた。
ここで、雲に追いつかれてしまった。
雲は、一緒に冷たい風も運んできた。汗をかいた体に、風が気持ちいいと思ったのも束の間、冷たい、体が冷えてきた。
上着を着て、
雲より早く山頂を目指す。
おっさんことTさんは、背負っていたリュックを置いて挑む。
さぁ、もう少し!
さっきまでの道ほど険しくなく、スルスルと山頂に到着した!
「三度目の正直!朝日岳山頂!やったー!」
雲に勝った!山頂は風もなく穏やかだ。
雲海はなくなって、遠くの街の様子がうっすら見える。3人揃って記念写真を撮る。
奥に見える三本槍岳は雲で見え隠れしている。山容は大きくてゆったり穏やかな山だ。今回は登らないけど、次は3つの山を縦走しよう
山頂には、次々人が登ってくる。山頂を譲り、ゆっくり下山する。
下りはロープウェイを使わず、そのままバス停まで下っていく。
樹林帯の中は、しっとりして暖かい。
いつもは風が強いという那須岳、こんなに穏やかな表情を見せてくれる時もあるんだ。
携帯電話を置き忘れたショックは
今日の那須岳の山容、山肌の色の変化、爆裂火口の美しさにかき消された。100名山の名にふさわしい山だった。
山って、天気で見え方、感じ方がこんなに変わってしまう。
同じ山でも、同じ顔は見せてくれない。
一期一会で、だから楽しい。いつもの山だけど、いつも違う。
帰りに駅で、携帯電話を無事に受け取った。
写真を2人から頂いて、このnoteが書けている。
ありがたい。
一人の山歩きも良いけど、仲間と登るのも、たまにはいいね。
朝日岳、ありがとう!
いい山でした。