本日の一曲 vol.515 金延幸子:青い魚 (1972)
小津安二郎(1903年12月12日生~1963年12月12日没)さん監督作品の大ファンであるヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders, 1945年8月14日生)さん監督、役所広司(1956年1月1日)さん主演の映画「PERFECT DAYS」(2023)を Amazon Prime で鑑賞しました。
この映画は、浅草、渋谷、首都高を中心としたロード・ムービーであり、おそらくルー・リード(Lou Reed, 1942年3月2日生~2013年10月27日没)さんの1972年リリースのアルバム「トランスフォーマー(Transformer)」に収録された「パーフェクト・デイ(Perfect Day)」から映画の題名を採用したものと思われます。この曲は、彼女と過ごした最高の一日を歌ったものですが、映画の題名は複数形になっていますから、「最高の日々」という意味なのでしょう、映画はタイムループ・ホラーのような繰り返しの日々です。しかし、映画はホラーではなく、本当に最高の日々なのです。
ルー・リードさんの「パーフェクト・デイ」の歌詞については、noter の khayashi さんの記事をご覧ください。
主演の役所広司さんについても、アマプラでは2021年の映画「すばらしき世界」も同時に公開されていますので、「すばらしき世界」の方を先に鑑賞してしまうと、役所さんがいつか暴れだすのではないかと、少し不安になったりもしますが、決してそんなことはありません。ただ、映画の設定としては、両方とも同じようなアパートに住んでいるところが、またおもしろいところです。
映画では、懐かしい古い曲がたくさん使われており、劇中では石川さゆり(1958年1月30日生)さんがあがた森魚さん(1948年9月12日生)のギターを伴奏にして「朝日のあたる家」を歌ったりします。
映画での使用楽曲については、noter の「おみず」さんの記事をご覧ください。
本日は、この中から金延幸子(1948年5月31日生)さんの「青い魚」をご紹介します。金延さんは、1967年から1969年まで京都、大阪、琵琶湖で開催されたフォークキャンプの出身で、当初は「和製ジョニ・ミッチェル」と呼ばれたりしていたようです。
金延さんは、1972年に細野晴臣(1947年7月9日生)さんのプロデュースでファーストアルバム「み空」をリリースしました。「青い魚」はこのアルバムに収録された1曲で、編曲は細野晴臣さん、演奏はアコースティックギターの金延さんとエレキギターの鈴木茂(1951年12月20日生)さん、ベースは細野さん、ドラムは林立夫(1951年5月21日生)さんです。
アルバム「み空」のプレイリストと音盤案内です。
この映画「PERFECT DAYS」にはいろいろな出演者がふとしたところで出演されています。石川さゆりさんやあがた森魚さんのほか、柄本時生(1989年10月17日生)さん、アオイヤマダ(2000年6月24日生)さん、甲本雅裕(1965年6月26日生)さん、長井短(1993年9月27日生)さん、ニャースの犬山イヌコ(1965年12月16日生)さん、モロ師岡(1959年2月20日生)さん、麻生祐未(1963年8月15日生)さん、三浦友和(1952年1月28日生)さんたちです。
役所広司さん演じる平山の姪を演じた中野有紗(2005年生)さんは、この金延さんの「青い魚」(2024)をカバーしています。
noterの「nakaipoet」さんの記事でもキャストについて書かれていました。
DPE店のおやじさんはアメリカ文学の東京大学名誉教授の柴田元幸(1954年7月11日生)でした。研ナオコさんは、「cat lady」役として神社で猫を撫でて座っていました。
この映画で映されている「東京」には、現実の東京にありがちな工事現場はなく、東京の住人としては、とても気を使ってもらったと思います。
また、平山は、就寝前の読書を習慣にしているのですが、映画では平山の部屋には、布団しかないミニマルな部屋なのかと思いきや、次にカセットテープの棚が映され、次に文庫本の棚が映され、最後に1階の物置部屋が映されていました。
最後に平山が読んでいた3冊の本をご紹介します。
1冊目がウィリアム・フォークナー(William Faulkner, 1897年9月25日生~1962年7月6日没)さんの「野生の棕櫚(The Wild Palms, 1939)」。
2冊目が幸田文(1904年9月1日生~1990年10月31日没)さんの「木」。
3冊目がパトリシア・ハイスミス(Patricia Highsmith, 1921年1月19日生~1995年2月4日没)さんの「11の物語(Eleven, 1970)」でした。
(by R)