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より効果的な伝え方:「嫌なことは今は忘れて」と言われて思い出すのは嫌なこと<福山桜子:本気で変わるコミュニケーション>

<「嫌なことは今は忘れて」と言われて思い出すのは嫌なこと>

遠赤外線の溶岩石の床で思う存分滝汗の岩盤ヨガ。これが本当に身体の水分を入れ替えたような気分になれて気持ち良い。以前は普通にサウナタイプのホットヨガに通ったり岩盤浴にも行っていたのですが、ただ岩盤浴に行くより、なんか「やってる感」があるので、充実感もある笑。しかし、前のスタジオから足が遠のいた理由は、充実感ということだけでもありません。

ヨガは、ご存知のように、瞑想、脳の雑念を取っ払う時間でもあります。インストラクターの方が「呼吸に集中して〜」など導いてくださる。

で、前のスタジオでどうにも相容れなかったのが、必ず「外の嫌なことは、今はすべて忘れて、温かい空気を感じてください」やら「今抱えている辛いことを一旦忘れて…」やら、「嫌なこと」「辛いこと」という単語を繰り返し出してくることでした。

脳は、最初から否定形をイメージすることができない仕組みになっています。
言葉で「するな」と言われた場合、一旦は「してはいけないこと」をイメージしてから、それを否定しようとする。つまり、否定されても、どうしても一旦は「してはいけないこと」を想像してしまうのです(専門用語では皮肉過程理論:シロクマ効果、といいます)。

有名な例えで言うと「ピンクの象のことは考えないでください」「ピンクの像は存在しないので絶対に忘れてください」などと言われると、まず、ピンクの像のイメージが脳内に出てきてしまう現象です。

ヨガスタジオで、すっかりリラックスしているのに「外の嫌なことは忘れて」と言われるたびに、一回「嫌なこと」を思い出してしまう。せっかく忘れてたのに、すんごいムカついてる奴の顔が出てきたり、とても辛いことを思い出したり。それが本当に邪魔くさい。ウルサイ私は、これをスタジオの受付の方に丁寧にお伝えしたわけですが笑(クレーマーと勘違いされたかなぁ)、改善されず、毎回「嫌なことは外に置いておきましょう」などと言われるので行かなくなってしまった。

<否定形だと、やってほしくないことのイメージが湧く>

脳に湧くのは「嫌なこと」に限らずです。

否定形で伝えると、相手の脳には「やってほしくないこと」のイメージが湧いてしまう。

「騒がないで!」と言われると、一旦騒いだ状態を想像してしまう。
「喧嘩しない!」と言われると、まずは喧嘩してるイメージをしてしまう。
「触らないで!」は触ったことをイメージしてから、など、「やってほしくないこと」の方をイメージしてしまうのです。それを否定する作業を脳内でするのですが、湧いているイメージは「やってほしくないこと」。
そして人はイメージできたものの方に引っ張られやすい。

それが強い欲求の否定になってくると、暗示に発展する場合もあります。他人に対してだけではなく、自分に対してでもおなじこと。「今日は絶対ゲームをしない」「絶対遅刻しない」と思い続けると、脳内には「ゲームをしている自分」「遅刻している自分」が強くイメージされ続け、自己暗示にかかって、ゲームをしてしまったり遅刻をしてしまうことすらある。

では、どうするか。

成功イメージが湧く言い方:肯定形に変えればよいのです。

脳は、どうしても言われた言葉をイメージしてしまう。否定形は理解できない

<成功イメージで伝える>

「騒がないで!」→「静かにして」
「喧嘩しない!」→「仲良くしよう」
「触らないで!」→「手を離して」
など、「やってほしいこと」、成功イメージが浮かぶような言い方に変えていく。言われた方は、イメージが湧いて行動に移しやすくなっていきます。

否定形で伝えそうになったら、脳内で言い換えてから伝える。

繰り返し練習していると、最初から否定形ではなく、肯定形で伝えられるようになっていきます。私も最初の頃は時間がかかっていましたが、今は何も考えずに、良いイメージの方で伝えられるようになりました。

面白いですよね、脳の癖って。

コミュニケーションスキルは脳の癖を知ることで変わることがたくさんあります。自分の理想のコミュニケーションをイメージして、自分の脳を操っちゃってくださいませ!





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