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◎ドラマ『星降る夜に』
私の辞書には、こんな文が書かれている。
「吉高由里子と戸田恵梨香の作品は面白い」
彼女たちの全ての作品を観た訳では無いけれど、今のところ百発百中で面白いので『星降る夜に』を視聴してみた。
結論から言うと、凄く面白かった。
産婦人科医と耳が聴こえない遺品整理士の話で、恋愛ドラマとは言いつつも、とても社会意義のある作品だと感じた。
それこそ遺品整理士や添い寝士ってあまり聞き馴染みがない言葉だけれど、必要性やどんな職なのかを知る機会になった。
この作品では「当たり前にしてはいけない当たり前」な日常が沢山散りばめられていた。
たとえば鈴がバスの中で手話の勉強をしている時、おばさんが凄い顔で鈴を見ている姿が、現代の狭隘な心を表していて胸が痛くなった。
傍から見れば奇妙な行動かもしれないけれど、それをそんな目で見なくても…と思う反面、そういう人を見たことがあるし、実際自分自身も冷たい目を他人に向けたことがあるなって自省したり。
それに不動産の人と物件見学をしている際も、多分不動産には一星が行ったからだと思うけれど、紹介された場所が電車の走行音が酷い物件だった。家賃の安さから2人で見に来た時に、鈴は「うるさいから」と言ってお断りしていたが、その際「夫婦で聾だと思って」と案内人が言っていた。そういう勝手な決めつけも、根深いんだなと感じるシーンだった。
さらに2人が手話で会話している姿を怪訝な表情で見ている案内人も、おいおいと思う一方、きっとそういうことが日常的にあるから描いていると思うと、全く優しくない世の中だと気付かされる。
キャラクター面でいうと、一星が息をするように人に優しく姿や、鈴が知らない世界や分からないことに対して寛容だからこそ、自分で分からないことを知ろうと努力する姿がとても良いところ。
家族間でも、きちんと「好きだよ」「愛してるよ」を伝えるシーンもあって、愛って恋愛だけではないよなと思うし、
一星と春が喧嘩して仲直りするシーンも、きちんと「ごめんね」って言い合える2人が素敵。
北斗さんが言う
「生まれるも死ぬも同じ人生のうちだから」
この言葉に、この作品の全てが込められている。
あとどうしても書きたいこと。
最初距離詰めるの早すぎん…?とかは飲み込んで
(書いている時点であまり飲み込めていないが)
ただ一つだけ、どうしても一つだけよく分からないのは、何故窓ガラスを割られたのに、警察を呼ばない…?
佐々木先生はかなり傷を負ったのに救急車を呼ばない?
物語終盤で鈴が「これは私とあの人の問題だから警察を呼ばないで」「彼も闘っているように見えて…」と言うけれど、いや先生結構大ケガ負っていたのに…?感が拭えない。
伴について描きたい以上は仕方ないにせよ、病院という命を扱う場なのに、あまりにも危機管理意識が足りない、杜撰な対応に首を傾げた。
そこが残念。
最後に。
一星にとって日常の音のない世界を演出するために無音の時間が何度もあるけれど、そういう映像作品ならではの伝え方が凄く好き。
作中に出てくる、細かいところに描いている現実を見つけることも好き。
そういう人の優しさや残酷さ、もどかしさや心残りをきちんと描こうとしているんだと伝わってくる作品。
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