オフビートロードムービー【『ルート29』映画感想文】
本来オフビートとは贅沢な振る舞いである。なぜならオンビートで撮るべき物量のものをあえて簡素に撮るやり方だからだ。そしてその物量とは人の事である。だからこの映画は失敗した。日本の国道を歩く2人の人物を簡素に撮ってもオフビートにはならない、人が少な過ぎるのだ。オフビートとロードムービーは相性が悪い。ロケ地を多く捌かなければいけないがためにシーンの中で人を集めることが出来ない。これは動物や虫を寄りで撮ったところで補完出来る事ではない。ゆえに子供達のシーンはエネルギーが出るがその他のシーンは死んでいる。
また日本における旅の不可能性についても戦術が乏しい。整備された国道と交通機関によって全国繋がっているこの国では旅は即観光となってしまう。ゆえに無理矢理にあえて旅の状況を作らなくてはいけないが、そうなると途中森で出会う親子の様な世俗を捨てた立場にならざるを得ない。しかし主人公2人はそうではない。だから緊張感に欠いてしまう。
しかし日本映画はいまだに綾瀬はるかの適切な使い方を見つけられていない様だ。この映画にも彼女ははまらなかった。ドラマやCMであれだけ輝くのに、不思議な女優である。