A面B面で内容を分けたホラーコメディ【『サユリ』映画感想文】
A面B面で内容を分けたホラーコメディ。あくまでジャパニーズホラーのテイストで荒技ゴーストバスターに挑むという、たしかに誰も見た事が無い作品ではある。
孫に太極拳を仕込むスポ根ロックンロール婆ちゃんは見ていて楽しさも感じられるが、家族の絆というモチーフがうまく使い切れずに終わった印象。
特に序盤は典型的な仲の良い家族というフリになるはずが、セリフが死んでるため一周回って家族に見えず、役者達が家族ごっこに興じてる様にしか見えない。つまり家族に見えない。だからその後悲劇がどれだけ積み重なろうとも、長男の痛みを感じる事が出来ない。これは最後の展開に繋がるのでダメージがでかい。
しかし変わった間取りの家の使い方や、徹底して見せてくるホラー描写は迫力があり、弟と姉の階段周りのシーンは法則性が分からないホラー描写となっていて恐怖をあおる。長男の同級生女子も序盤はキャラクターに迷いがあったが、中盤からどんどん良くなり、途中は映画全体を引っ張ってさえいた。
HSと等速をセパレートして見せるホラー描写も効果的だったが、A面B面を分けるならグレーディングもA面B面で変えてしまうべきだった。