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3人の幼馴染が抗争に巻き込まれる【『オアシス』映画感想文】
という映画なのだが悪い意味でそれ以上書く事がない。2人の男が1人の女を挟んで揺れ動く話かと思いきや、3人で巻き込まれるという目的が設定される意外性はあるがそれ以上はない。この映画でどんな主題が表現されてるか、そこにどんな想いがあるのか、何を観客に感じて欲しいのか、または楽しんで欲しいのか、そういうものが何一つ見出せなかった。
ドキュメント的なテイストを目指したのか、または単にカットが割れないのか、やたらキャラクターの背中を追っかける長い移動撮影が続くがそこに特に効果的なものは見出せず、シネスコの横幅の画面を活かした構成的な画がある訳でもない。移動撮影主体だからか、中盤出てくる家の美術に予算を使ったからか、照明がほどんど使われていないと感じるほど貧弱なため、当然画面が締まらない。そもそもリアリティレベルが低い物語なのだからドキュメントテイストは違和感がある。どこかのやたら治安の悪い地方都市でこれみよがしな暴力が続くのだが、その暴力も過剰さに振り切る訳でもなく、かといってストイックな訳でもない。後半ヤクザの組長と謎のタイマンシーンがあり、その後、敵の首をもったキャラクターが主人公の逃亡を見守るというリアリティレベルのバランスを見失った描写が続く。またキャラクターの動きから魅力的なショットが作れている訳でもない。
主役3人の物語に見るべきものが特になく、回想を織り交ぜた説明こそあるが観客が感情に乗り切る前に展開だけ進むため、なぜ後半彼らがあんなにも再び互いに心通じ合う様になったか分からない。秘密基地の家で音楽聴きながら踊れば心が通じ合える、という訳にはいかない。色々描写不足である。
3人が子供の頃過ごしたであろう秘密基地の家とそこでの時間が3人にとってのオアシスであるという事なんだろうが、追われる身なのだからさっさと町を出た方がよい。町から出られない描写も特にないため、結局タイトルが表すものを描写したいために敵も含めたあからさまなキャラクターとシチュエーションが用意されているだけである。ロックなものを目指したのだろうが、思い切りがよい訳では無く、強いものがない。おまけに本来は力のあるメインキャストのはずだが演技もよくない。こうなると真の意味で駄作である。