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地面師詐欺【『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』映画感想文】

 テンポがよく面白い。ドキドキもあって程よいコメディシーンもあり、タイトルの怒りの伏線も含めて全てを回収してくれる気持ちよさもある。骨格の強度が非常に高い韓国ドラマ原作を2時間に圧縮したためか、セットアップの時間に多少のご都合主義や引っかかるポイントはあるが物語の強さがあるため、ぐんぐん引き込まれる。完全に物語優位の作品で語りに見るべきものは特に無いがカット割での情報提示の取捨選択は洗練されてる印象で雑味が少ない。演劇というモチーフを生かして騙す騙されるを虚構と現実として置き換えていく運動をもっと描けた気がするが本筋には関係ないため入れなかったのであろう。その判断が弱点でもあるのだが。
 総じて質の高い明朗なエンタメとして気持ちよく消費出来るが、特に心に残るものはではないため半日経てば内容は忘れる。所謂ポップコーンムービーという枠に入るのだろうが、今後そういったニーズは縦型ショートドラマなどに取って代わられていく予感があるため、これからの業界の試金石としてこの作品がどういう動きをするのか気になる。
 内容、監督、キャスティングと、企画側の意図はよく分かる。サプライズこそないものの企画は巧みだと思う。特にカメ止めで映画業界に希望をもたらした監督なため、興行的成功を収めて欲しいし実際興行は結構いくのではと思う。地面師被りもむしろ好影響なのではないか。ただポップコーンムービーとして縦型ショートドラマに対抗するにはもう少しボリュームアップが必要な気もしていて、分かりやすい爆発やアクション、それぞれのキャラ立ちの強化、キャスティングに若手男性アイドルなどを入れられるとより良かったのではないかと思う。
 そういった興行面とは別に監督自身の方向性として、虚構と現実を物語のテーマとして所謂大どんでん返しを期待される映画を作り続けなくてはいけないのはどうかと思う。本人の意思なら良いのだが、そういったものから解放してあげて欲しい気持ちもある。

#映画感想文

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