メタヒーローバディ物映画【『デッドプール&ウルヴァリン』映画感想文】
メタヒーローバディ物映画。デッドプールが終始メタでヒーロー映画をおちょくり続けるが、マルチバースというそもそもの物語内巨大メタとも衝突して、あっちこっち好き放題の128分となっている。
アメリカという国は普段あれだけ権利関係にうるさいくせに、いざやるとなると、とことんやり切るパロディ精神がある国で、砂に埋もれた自由の女神よろしく、20世紀フォックスロゴを砂に埋めてくるのだから笑ってしまう。コカとペプシ、マックとバーキンの広告合戦しかり、こういうところにアメリカ流の粋を感じる。日本だと銀魂やおそ松さんなどのアニメでの試みはあるが、モザイクやピー音で照れ隠しを入れてしまうあたりが、近代以降の権利という概念にまだ不慣れな日本が表れている。
めくるめくアクションやキャラの登場は楽しく、デップーとウルヴァリンのやり合いは、双方死なない事が分かっているので、血みどろのトムとジェリーといった趣きで、安心して見ていられる。ウルヴァリンのコスチュームやマスクなど、ファンが喜ぶ演出も決まっており、2000年代以降のアメコミヒーロー映画の積み重ねが映画史にとっても大きな歴史である事を実感する。
どれだけ好き放題やってもヒーローの目的は世界を救う事である、という不変もまた信頼が置ける証だ。