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チーム・バチスタの栄光

『チーム・バチスタの栄光』/海堂尊


舞台は東城大学医学部付属病院。

ここでは心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」が作られ、順調に実績を上げていた。

ところが最近になり術中死が相次ぐ。さらに次の患者は海外のゲリラ少年兵士ということでマスコミの注目を集めることになったため、内部調査を行うことに。

このやっかいな役目を押し付けられた神経内科の万年講師・田口は、これまたやっかいな厚労省の変人役人・白鳥とともに「チーム・バチスタの綻び」を調べることとなりーー。


医療系ミステリーです。テーマは医療ミス、医療過誤ーー?はたまた現在の医療の矛盾か問題か。

いろいろ考えさせられる物語です。

とにかく面白い。エンタメ小説寄りといえるくらい読みやすくテンポが良い。そして引き込まれる。

なによりテーマが面白い!超おすすめです。


最後にこれだけ言わせてください。

このシリーズめちゃめちゃ好き!

海堂尊さんは自身がお医者さんということで、医療系のミステリーや小説を多数(それこそ山のように!)執筆されています。

その中でも、この「チーム・バチスタの栄光」に端を発した「田口・白鳥シリーズ」(私が勝手にそう呼んでいる)は、全てのストーリーにおいてとある一つのテーマ(死亡時画像病理診断)が根底にあり、またそのそれぞれがどこかでつながっているという驚異的なシリーズです。

登場人物も少しずつ被っていたりして、シリーズで読むとよりいっそう楽しめます。


ちなみにその一貫したテーマというのは「Ai」です。

最近「えーあい」というと「人工知能」のほうが馴染みがあるとは思いますが…笑

こちらのAiは「オートプシー・イメージング("Autopsy imaging")」の頭文字をとったもので、日本語でいうと「死亡時画像病理診断」です。

ん~、日本語でもよくわからないですね。笑

簡単に説明すると、死後に患者さんのご遺体をCTスキャンして画像を撮ることで、ご遺体を傷つけずに死因究明の手がかりとすることができる、というものです。

一般的には、外からみて分からない死因(内出血、内因死など)は正直解剖しないと分かりません。

でも解剖は時間も手間も人件費もかかって大変だし、なにより患者さんの体を傷つけることになるので、ご遺族からすると感覚的にも受け入れがたい。

なかなか広く行われていないのが現状です。

ところがこの「Ai」なら、パッとCTでスキャンするだけで、身体の内側の客観的なデータが簡便に迅速に得られるのです。

海堂尊さんのシリーズでは、この「Ai」が重要なキーポイントとなります…。


気になる方はぜひ読んでみてください!

おすすめ度☆☆☆☆☆

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