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エッセイ

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日常で起きたこと、自分に纏わること、その頭の中、をぐるぐると。基本的に長いです。
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担当マネージャーが母になった。

担当マネージャーが母になった。

 まだ事務所が出来立ての頃、胸を高まらせながらAVの面接に来た私の目に、真っ赤なワンピース姿の女性が飛び込んできた。そのとき、私はなぜかドンタコスを思い出した。「はじめまして〜」と発せられたその女性の声と抑揚の加減が、ちょっと酒焼けした倖田來未さんのようだった。私より10歳年上のお姉さんだった。

 恵比寿に構えられたAVプロダクションに少しだけ気圧されていたので、私はおずおずと彼女に履歴書を渡し

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母と遺伝子

母と遺伝子

 母親ってどうしてこんなにもおしゃべりなのだろうか。
 おしゃべりじゃない母親もいると思うけど、うちの母親は口から生まれた化け物だといってもいい。今、まさにそんな母親と電話越しで揉めている最中である。

 私の母は数分の間に猛烈な量の単語を吐き出して話す。話は面白いわけでもなく、大筋から外れてぴょんぴょん小話が飛び回る。そこから最果てのない旅路に出かけてしまうので、いつのまにか置いてけぼりを食ら

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キャンプと掃除

キャンプと掃除

 料理は嫌いではないけど、継続できるものではないと思っている。対して掃除は好きではないけど私には向いている、というかしないと落ち着かない。それで毎日、クイックルワイパーとルンバと掃除機をフル活用している。
 目に認めないダニも木っ端微塵にしてやろうと意気込んでいて、ダニ取りシートは定期便に頼るほど欠かせない。浴室で髪を洗っている時にカビを見つければ、黒板に爪を立てたように神経がピリつく。シンクが汚

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大人の友達

大人の友達

 私には友達が3人いる。
 そのうちの1人がMちゃんだ。
 Mちゃんとは15年来の付き合いになる。人の仄暗さを吹き飛ばすような光量が彼女にはあって、だからそうでない私と話が噛み合わないこともある。でも、Mちゃんと話していると笑いが止まらない。何に笑っているのかもよくわからない。よく見ると、Mちゃんは赤ちゃんに似てる。見るとうっかり微笑んでしまう、そんな感じの人なのだ。

 たとえば、Mちゃんと出か

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大人の本音

大人の本音

 ストレートにものを言う人は、せっかちなのだと思う。
 というのも、ここ最近の自分の言動を振り返って改めて思うことである。何より「本音=ストレートにものを言うこと」だと、私は思い違いをしていた。その件について。

 仕事先の打ち合わせ等で、よく「本音で語ってくださいね!」とスタッフさんやプロデューサーさんから言われることがある。非常にありがたいお話だ。表面的な意見ではなく、芯を食ったコメントの方が

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犬のいる家

犬のいる家

「犬、飼いはじめたんですね〜」と言われると、なんとなく「そうなんです、家に迎えたんです〜」と言い直す癖が私にはある。

 意味合いとしては飼っているに違いないのだが、飼われている気持ちになることも多い。比較的、私は犬に面倒をみてもらっているほうだ。たまに私が泣いてると、耳を下げて「どうしたのどうしたの?」とぺろぺろ舐めながら心配してくれるし、原稿を書く気にならずにサボっていると「どうせ時間を持て余

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花のない家

花のない家

 実家に花が飾ってあるのを見たことがなかった。
 というか、そもそも私には実家がない。
 正確に言うと、実家たるものがない。
 最初の家は私が六歳の頃まで住んでいて、一軒家で、いわゆる「実家感の強い」家だった。

 これまで住んだ家の中で、その家が一番広かったらしい。私の体は小さかったから、大人になって母から聞くまで、まるで実感したことがなかった。私はのちに親の都合で6回に亘りいろいろな家に引っ越

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