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読書記錄 #03


ビジネスを育てる(新版) ポール・ホーケン 著 阪本啓一 訳


40年以上前に書かれたとは思えないほど、フレッシュで現代にも通用するビジネスの知恵が凝縮されている。

大きく息を吸って。吐いて。じっくり取り組もう。働こう。実行しよう。そして、学ぼう。

本書の読者にぼくが伝えたい原理原則はたった一つ。「自分の頭で考えよう」これだけ。手軽で簡単な答えに飛びつくのはやめよう。ビジネスに定石はない。ないからこそ努力が必要で、努力した分だけ報われるのである。

あなたの前には2つの道がある。世間に広く流布されている、「ビジネスは顧客の横面を札束で張るものだ」というやり方を取るのか、それとも、「顧客と心の絆を結ぶ」のか。

ビジネスの成功は、ひとえにあなた本人にかかっている。あなたが世界に二人いないように、あなたのビジネスもかけがえのない唯一絶対のものなのだ。「ビジネスをする」ということはお金儲けを指すのではない。あなたが、ほかの誰でもない、あなた自身になるための道なのである。

など、金言の宝庫。

ビジネスとは、常に顧客の方を向いていること、行動しながら適宜対応していくことなのだということが伝わってくる。

また、顧客だけではなく社員も大切にすることが、結局は会社の発展につながるのだということを、具体例をもって示してくれる。

毎週金曜日の5−15レポートでは、社員自身が現状を振り返るとともに、それらを集計した報告書を読むことで、創業者自身が社員の声を聞き、コミニュケーションを取ることができる。

ポイントは、聞くだけじゃなくて、社員に対してちゃんとフィードバックしているところだ。
社内の改善案を募集し、すぐに実行するところなど、日本でいうと未来工業を思わせる仕組みだ。

社内の色んな分野に配属させて、全体の連携を学んでもらうという章では、日本企業も同様だと触れられていた。

通常「プロフェッショナルを育てることにならない」と、批判されがちなこの方法が本著のなかでは、好意的に紹介されていることに驚いた。

実際は、日本は新卒一括採用し、専門性を育てないまま部署替えされることも多く、異業種で働いていた人を採用して成果が出れば昇進させていくスミス&ホーケンとは、そもそもの土台が違うのだが・・・

社員や会社全体の成長を見込んで行う行為か、慣習にのっとり思考停止で行うかで、どれほどの違いが出るのだろうか。

スミス&ホーケンで働く人達は、仕事と自分自身の人生にやりがいを感じている人が多そうな気がする。

しかし、どの会社、どの職種で働くかは誰かに強制されたものではなく、自分自身で選んだことだ。

思考停止にならず、自分にとってよりよい人生を歩むために、常に試行錯誤しながら生きていきたい。

そんな勇気をくれる一冊だった。

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