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祭囃子と孤独


人が孤独に気づくのは
誰かの繋がりを目にした時だ。


祭囃子が響く町をあとにして静かな家の中に帰ってくると、どうしようもないやるせなさと孤独を感じた。
太鼓と笛が創り出す祭の囃子に今年も魅せられながらきゅうりとパイナップルを頬張る。祭ってのはいい。地域の繋がりを五感で感じられる。こんなに大勢の人が一緒になって太鼓叩いて笛吹いて踊りを踊って一つになって、遥か昔から人間はこうやって絆をつくってきたんだろうと、数十万年の歴史に思いを馳せる。

綺麗だ。と思った。

そう思うのと一緒に寂しい。とも思った。

自分も、音を創り出す側の人間になれたら、と思った。



大人になるほど、みんなで何かをやることってどんどん無くなってくる。
何かに全力で取り組むことも、無くなってくる。
歳を重ねる度に孤独になっていく。
そんな気持ちがどこかにあって、いつも寂しい。こんな夜の日は特に。

寂しくて堪らない。
寂しい、寂しい、、寂しい、、、。


何かを始める勇気も、始めた先に待ち構える努力も、どんどん失っていく。
何かに打ち込む人を横目で見ながら、羨ましいな、なんて思いながら、何もしないまま終わる。
寂しくて堪らないのに何もしないまま進んでいく。歳をとっていく。大人になっていく。どこにも属せぬまま、誰かと喜びを分かち合う幸せも感じられぬまま、孤独に近づいていく。

何かをしたいと思いながら、何もできぬまま、そんな自分を嘆きながら、夜はさらに濃くなっていく。

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