シェア
黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年6月23日 18:09
女としての幸せは、あきらめることになる結婚は親が決めた相手とするものだ、と思っていました。そういうものでしたよ。この時代。恋や愛・・・・・・そんな浮ついた気持ちではなく、生きていくための家と家のつながり。それが「結婚」でした。けれどわたしは秀吉、いえ当時は藤吉郎という名でしたが、彼に恋をしました。わたしは14才でした。きっかけは信長様が鷹狩の帰り、わたしの義父の屋敷に寄ったことで
2020年6月26日 15:05
わたし達夫婦の当たり前わたしの表の顔は藤吉郎の妻、彼と二人でいる時は彼の母親として裏の顔、という二面を持っていました。夜、仕事から帰ってきた藤吉郎は、その日あったことを子どもが母親に話するように、無邪気に何でも話をします。わたしはそれを、うんうん、とうなづき微笑んで聞いています。そこにある一人の女性の話が、たびたび出ることに気づきました。「そりゃあ、もう、わしには別世界のような、とてつ
2020年6月25日 17:13
わたしが、わたしを生かすそれからわたしは、藤吉郎の母になりました。毎晩、わたしは正座して城から帰ってきた彼の話や愚痴を聞きました。落ち込む彼の手を取り、背中を撫でて慰め励ましました。わたしは彼が元気よく過ごせるように心を砕きました。同じ長屋には、彼の親友の前田利家さんと奥様のまつさんも住んでいました。わたし達より先に結婚していた利家さんとまつさんは、わたし達の結婚の仲人になってくれました
2020年6月24日 13:03
これが、わたしから彼への愛ですこの日の夜も城から帰ってきた藤吉郎は夕食を終え、そのまま寝ようとしました。わたしは今日こそは、と思ったので「ちょっと、待ってください」と彼を呼び留めました。彼の背中がビクン!と揺れました。「聞きたいことがあります。そこに座って下さい」硬い声でそう言うと、藤吉郎は叱られた子供のように渋々わたしの目の前に座りました。単刀直入に聞きました。「わたしは、あ