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愛し愛され輝いて生きるガイドブック

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」最終話 空気を吸うように愛を吸う

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」最終話 空気を吸うように愛を吸う

空気を吸うように愛を吸う

今、私は肉体を手放し、ひと休みしているの。
これまで生きてきた人生を走馬灯のように振り返り、あなたにお話ししたの。
あなたにお話ししながら、私の魂は色が抜け落ちるように少しずつ薄く軽くなっていく。
魂は思いがたくさん詰まったままだと、重くて上に上がれない。
現世であった様々な思いを手放し軽く、軽やかになり、風船のようにすうっと、極楽浄土に行く準備をしているの。

こうや

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十九話 なんの後悔もない人生

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十九話 なんの後悔もない人生

なんの後悔もない人生

それからも色々ことがあったわ。
六十歳の時、歴史的な大火事が起こった。
四十七歳で亡くなった家光を見送り、家光の長男が四代目の将軍徳川家綱となった時のこと。後に後に江戸三大大火とも言われた明暦の大火だった。
この火事で私の住んでいた竹橋御殿も焼けてしまった。
火の勢いは凄まじかった。真っ赤な火が大きく手を広げ、江戸城や、江戸城の周りにあるたくさんの大名達の屋敷や江戸の町も、

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十八話 お金に復讐される

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十八話 お金に復讐される

お金に復讐される

「私、天樹院様さえよろしければ大奥に戻らず、ずっとこちらに住みたいです」

生まれたばかりの赤ん坊は長松と名付けられた。長松を抱っこした夏殿が私に懇願した。私はおやっ、と彼女の顔を見た。夏殿が言うには、窮屈な大奥での暮らしより、ここでの自由で息のしやすい生活が自分のためにも子供のためにいいのでぜひに、との事だった。私は夏から赤ん坊を受け取り、抱っこした。

ふっくらした頬をもつ

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十七話 女で生きていく覚悟を決める

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十七話 女で生きていく覚悟を決める

女で生きていく覚悟を決める

突然天秀尼を失った私は、片方の翼をもがれた鳥のようにエネルギーを失った。
彼女がいたからこそ、共に手を取り合い、女性の救済に向けて力を注げた。
その場所として東慶寺だった。
私と彼女は母と娘というだけでなく、同じ志を持つ同士としての絆でも無すまれていた。かけがえのない同志を失ったのは、夫や子を失った時とはちがう、帰る家を失った子供のように寂寞とした気持ちだった。
彼女

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十六話 すべては光と影の表裏一体

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十六話 すべては光と影の表裏一体

すべては光と影の表裏一体

その後、私は東慶寺をよりよい寺にしたいと考えた。そこで目をつけたのが東慶寺の伽藍だった。東慶寺の伽藍は古びて、腐りかけていたの。伽藍とは、皆が集まり仏の道を説きながら修行する場所。
言わば、東慶寺の「顔」となるメインスペース。
そこが汚く古びていたら、東慶寺のイメージが悪い。
だからこそ加藤明成にも見下され、攻め入る隙を与えてしまったのね。私はこの伽藍を女性の救済の役に

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十五話 愛してくれてありがとう、愛させてくれてありがとう

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十五話 愛してくれてありがとう、愛させてくれてありがとう

愛してくれてありがとう、愛させてくれてありがとう

扉の開いた二十メートル先に先に、弟で現将軍の家光がいた。私はずらりと並ぶ家臣達を観客に見立て、ランウェイでウォーキングするモデルのように優雅に、そして凛として歩いた。家光の前まで進むと座って頭を下げ、いきなり口火を切った。
「家光殿、お尋ねしたいことがあります。
東慶寺は幕府公認の縁切寺で、間違いなかったですね?」

「確かに、東慶寺は幕府公認の

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十四話 神様は後からちゃんと、答えを用意している

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十四話 神様は後からちゃんと、答えを用意している

神様は後からちゃんと、答えを用意している

当時、幕府から縁切りが認められた駆け込み寺は、天秀尼のいる東慶寺と私が豊臣とのご縁を切った満徳寺だけだった。
この時代の離婚制度というのは、きわめて女性に不利な仕組みなの。離縁したくてもできない妻が、夫から逃れこの縁切寺に駆け込む。
縁切寺は妻から離婚請求を聞き妻を保護したのち、寺は夫に、離縁の示談を薦める。
それでうまくいけば離縁が成立するけど、夫がご

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十三話 自分の人生を輝かせる者

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十三話 自分の人生を輝かせる者

自分の人生を輝かせる者

それから何年も私は、自分のできることがわからずにいたの。
その間適当に生きる、とは言い方が悪いけれど三十八歳から四十六歳までの私は暇つぶしのように生きていた。
勝姫のことを心配することもなく、生活に何不自由もなく、傍から見たら「幸せ」と言える状態だったと思うわ。
だけどね「幸せ」とは誰が決めると思う?
周りではないのよ。自分自身よ。
いくら生活が満たされていても、自分自身

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十二話 この世に生まれ、生かされている意味は何?

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十二話 この世に生まれ、生かされている意味は何?

この世に生まれ、生かされている意味は何?

江戸に来て二年後、娘勝姫の結婚が決まった。
十一歳の勝姫はパパの養女という形を取り、池田光政様に嫁いだ。
片親だけど娘をちゃんとお嫁入りさせ、さみしさもあったけれど母親としての責務も果たし、肩の荷を下ろした安心感もあった。
勝姫の嫁入り先はなかなか難しかった。片親と言っても、あの子は二代目将軍の孫で現将軍の姪でもあるから、下手な所には嫁入りさせられない。

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十一話 今この時、やりたいことをやる

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十一話 今この時、やりたいことをやる

今この時、やりたいことをやる

江戸に帰ってきた。
十年ぶりの江戸は、人も町もわいわい活気があってビックリした。
のんびりした播磨や播磨弁に慣れていた勝姫は、人の多さや言葉のちがいに目を真ん丸に見開き、首をあっちこっちに向け興奮していたわ。
その様子がおかしくて抱きしめたいほど可愛くて、クスクス笑ってしまった。勝姫はそんな私におかまいなく、真っ赤な頬で外の景色から目を離さず言った。

「お母さま、

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十話 今の自分を超えたい!

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第二十話 今の自分を超えたい!

今の自分を超えたい!

忠刻ダーリンを失った本多家は、跡取りを弟の政朝様が継ぐことに決まった。私は勝姫を連れ、政朝様にお祝いの挨拶に行った。
おめでとうございます、と頭を下げた私に政朝様は恐縮し、笑顔で言った。
「義姉上、いつまでもこの姫路城に留まり下さい」
政朝様も忠刻ダーリンに似て心優しい方なの。
政朝様のすぐ横に座っていた義父上は、最愛の妻熊ママを失いげっそりとやつれていた。そして勝姫を手招

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十九話 涙は明日への力になる

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十九話 涙は明日への力になる

涙は明日への力になる

「千姫様、あなたは亡くなった秀頼公のお恨みをかっております」

その言葉を聴いた時、背中がゾッと泡立った。
この人の言うことを聞いてはいけない、という思いと、すがりたい、という思いが強烈に交差した。
本能は「近寄ってはいけない!」と赤信号を出し続けた。でも、私は彼女の前に座ってしまった。すぐそばには、ピタリと刑部卿局が張り付いていた。

私の中で、ワイルドフラワーは確かに咲

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十八話 愛は試すものではない

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十八話 愛は試すものではない

愛は試すものではない

私は幸せだった。
忠刻ダーリンや、熊ママや本多パパも幸せだったと思うの。

この時期、姫路城は喜びと愛と光に満ちていた。
姫路城下の民達も、城の外で私達の行列に出会うと、あたたかいまなざしを送ってくれた。
播磨の地はいくつか細かい争いはあったものの、穏やかで作物も豊かに実る良き国だったの。
それはきっとこの土地の神様が、私達をあたかかく受け入れてくれたからだと思うわ。
だか

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「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十七話 自分だけでなく、大切な人達のために強くなる

「シャイニング・ワイルドフラワー~千だって~」第十七話 自分だけでなく、大切な人達のために強くなる

自分だけでなく、大切な人達のために強くなる

その頃、私は姫路の民たちから「播磨姫君」と呼ばれているのを知って、
くすぐったく思った。けれどそれは播磨の地に受け入れられたことだと思い、誇らしくも思った。
その地で妊娠した私は嬉しさより、戸惑いの方が大きかった。
以前の結婚で妊娠と流産を味わい悲しい思いをした私に「妊娠」は必ずしも喜ばしい出来事ではなかったの。
もし、また流産したらどうしよう、そんな

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