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ノスタルジーなおいしさは、こんなふうに
カリーナ。
東京でサンドウィッチ、
といえばここらしい。
サンドウィッチが大好物なのかといわれるとじつはそうでもなく、
自分にとってサンドウィッチというたべものは、メニューであまりお腹が空いていないときに選ぶもの、くらいの認識でしかなかった。
でも少し前に有楽町の喫茶店でおいしいサンドウィッチを食べてから、なんとなくサンドウィッチという食べ物の存在が自分の中で大きくなったのを感じた。
そのサンドはうすいパンに半熟気味のあたたかいオムレツがサンドされていたもので、そのおいしさに私はひどく感動したのだった。
以降暇さえあればサンドウィッチについて、よくしらべている。
そして今回来たこのカリーナというお店は、「東京 サンドウィッチ」で検索すると、必ず上位にこのお店の記事が出てくるところで、ずっと気になっていたのだった。
とても人気で、昼前には売り切れるらしく、だから早起きをして出かけた。
それでもお店に着く残念ながらお目当てだったたまごサンドは既になくて少し残念だったけれど、
フルーツサンドやかぼちゃコロッケのサンドイッチなどがずらりと並んでいた。
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早朝にサンドウィッチを買うためだけに一緒に来てくれた友人と、ア~~とかウ~~とか悩みつつなんとか厳選する。
サンドウィッチは白い紙袋にいれてもらえる。
こうして家につれてきた4種類。
紹介しましょう。
①
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やっぱりこの、たまごサラダがおいしい。
味が馴染むように、作ったたまごサラダを一晩ねかせているそうな。
たまごがふうわりと空気を含んでいて、まろやかにやさしい。
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②
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結論から言うと、私は食べられなかった。
食べようとしたら、普段あまり揚げ物をたべない母がおいしいおいしいと言いながら平らげてしまった。タルタルソースかマヨネーズみたいなものが、カツと一緒にたっぷり挟まっていた。こちらのお店で揚げたとカツだから、きっと衣がサクサクで、マヨネーズがたっぷりで素敵なおいしさだったに違いない。(想像)
③
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矛盾するようだけれど、いままでに食べたことないほどに懐かしさを感じた。
多分、生クリームじゃない。ホイップクリープって感じのチープな口当たりに、怖いくらいに懐かしさを感じた。
食べたことないけど、私の母がこどもだった頃食べた昭和のフルーツサンドは、きっとこういう味がした。
④
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分厚いかぼちゃコロッケがサンドされたその姿はインパクトがあり、みているだけですでにおいしそうでワクワクする。
かじりつくと、外側の衣にソースが染みていてまだ少しサクサク。中には口当たりなめらかかぼちゃペースト。
うっすらマヨネーズの味がした。
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サクサク感がのこった衣の端っこもうれしい。
どのサンドウィッチにしても、泣きそうになるほどやさしいおいしさだった。
衝撃的なおいしさ、というのとは違う。
昔家で母が作ってくれたような、友人の家に遊びに行った時に軽いおやつとしてふる舞ってもらったサンドウィッチのような、
つまり自分の体にこれまで刻まれてきた記憶になじむような、安心感をくれる味。
手にもつとずしっと重みのあるやわらかなサンドウィッチの手ざわりを通して、作ってくれた人たちの手や、その体温を想像した。
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そして、サンドウィッチを買う、という行為自体にはそもそも魅力がある。
ケーキよりも手軽な価格で、ケーキを選ぶときのようなたのしさがある。
今日も、友人と迷いながら選ぶのが楽しかった。
それはちょうど昔、私が毎日のように友人と公園で遊んでいた小学生の頃、公園に遊びに行く途中でおやつを駄菓子屋さんで買うときのような心うき立つ感じにどこか似ていた。
このサンドウィッチの味覚的なおいしさもあるだろうけれど、このお店カリーナにはこんなふうに安心や懐かしさを求めてくる人は少なくないんじゃないかと思う。
だれかに守られる側ではなく、自分で自分を守らなくてはならなくなった大人になっても、こうして変わらず自分の心を迎えてくれる場所があること。安心感をくれる何か。
それがたべもののときもある。
そういうものものの存在は、すごく大事だと思う。
そう、誰にとっても。
今度は友人とコーヒーを買って、このサンドウィッチでピクニックしましょう、と約束をし、生きる理由がひとつまた増えた。
おまけ
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甘くしっとり、おやつにもぐもぐしてます。