【読書記録】科学的根拠で子育て
今回は、中室先生の本を2冊読みました。
「科学的根拠で子育て」を読もうと思っていて、「学力の経済学」を読んだ方が前情報が頭に入りやすいかなと思い、2冊続けてみた。
どちらの本も、ただの筆者の経験談とか持論というわけではなく、引用文献がかなりしっかり記載されていて、その解釈の仕方もとても論理的でわかりやすく、それでいて読みやすかった。
教育経済学がサイエンスであるというのも納得の内容。
読書をすると頭が良くなる?
よく、本を読むと頭が良くなると言われるが、これは読書しているから学力が高くなる(因果関係)のではなく、学力が高い子どもが読書をしている(相関関係)可能性がある。
あとは、第三の要因があるかもしれない。
色々なデータを解説する上で、まず上記の内容が述べられていた。
なので、データを解釈するには、慎重に正確に解釈しないといけない。
相関関係に過ぎないことを、因果関係と誤解したり、混同してはいけない。
この点はもちろん、論文を読んだり書いたりするには当然と言えば当然の知識。
ただ、日常生活では意識しておかないと、誤った解釈をしてしまうことは多そう。
個人的にすごく注意しなくてはいけないと感じたのが、元のデータ、論文に記載されている事項を一般的にわかりやすく報道する際に、ミスリードになることが多いと感じる。
交絡因子がある時に因果関係があるように発表されてしまう内容が多い。
なので、情報を鵜呑みにするのではなくて、きちんと本質を見抜くことが大切だと思う。
自分もそうだし、子どもにもそのような視点を持って情報を解釈できる能力を身につけてほしい。
子育てに成功した親の話はアテにならない
これらの情報に触れる時は、生存者バイアスに注意が必要。
とも述べられていた。
わかるわかるわかる!!
これは、ちょっとニュアンスが違うかもしれないけど、特にワーママ女医界隈とかではよくありがちで、医局とか、大学、学会のロールモデルとなるようなキャリア女医さんの発表とかってまじでこれな気がする。
過酷な環境で生き残っている時点ですでに生存者バイアスがあるから、そもそもその人のことマネできない。
そして、n=1の体験談が参考になる点はあっても、それはn=1でしかないという事実。
だからこそ、著者は、データを使って教育・子育ての効果を図る、教育経済学という学問の観点から、科学的エビデンスに基づいて教育や子育てに有益な提案をするということで、本を書かれている。
将来の収入を上げるために、子どもの頃にやっておくべきことベスト3
子育てをしているので、ここはかなり気になるところ。
ベスト3は、以下の3つだった。
スポーツをする
リーダーになる
非認知能力を高める
これが、将来の収入を上げることにつながるとのこと。
個人的には、収入を上げるだけではなく、人生を主体的に豊かに生きるために必要なことだなと感じた。
そのほか、スポーツの効果は男子より女子で大きいというエビデンスが多いことや、リーダーシップは才能ではなく習得できる能力であることなども述べられていた。
あとは最近マイブームの【非認知能力】についても、収入だけでなく結婚や寿命と関連することなども解説されていて、面白いなーと思いながら読んでいた。
さらに、非認知能力は学力を伸ばすが、その逆は起こらないらしい。
エビデンスに基づく教育
2冊を通して様々な点が丁寧に解説されていて、子育て中の自分にとって、
そして職場では後輩を教育することもあり、興味深い本だった。
勉強のご褒美は有用か?
上手な褒め方は?
非認知能力はどうやって鍛える?
第一志望のビリと、第二志望の一位はどっちがよいか?
などなど。
特に子育てしている方にはとてもお勧めできる本の内容だった。
ちなみに、非認知能力について色々考えるきっかけになった本は以下の本です。
今年も残り、15日。
あと何冊読めるかなー。