依存症ビジネスとの付き合い方を考える本
「僕らはそれに抵抗できない」アダム・オルター (著)
本書を読んだ理由
約一か月半、重めの風邪と子どもからもらった胃腸炎で体重・体力ともに減退し、歩くだけで息が上がる生活を送っていました。
睡眠時間を確保し、意識的に歩くことで、ようやく体力が回復し、以前の生活に戻りました。
体調不良の間、横になると咳が酷くて眠れず、本を読む気力がなくなりました。
そして、そんな私が手にしたのはスマホです。
情報収集したいネタがあったわけでもないのに、ただただ眠れなくて、暇つぶしでネットニュースを見ていました。
自己嫌悪で押しつぶされそうになりましたが、夜に眠れるようになり、体力が回復すると、自然と立ち直ることができました。
デジタルテクノロジーとの付き合い方を再考する、良いきっかけになりそうだったので、本書を読みました。
心に残ったポイント
・スマホユーザーのスクリーン平均使用時間の大多数が、1日1時間から4時間の範囲に集中している。スマホは時間を奪う。
・スマホを使わずに机の上に置いておくだけでも、目の前の人に集中できなくなるので、人間関係を損なう。手元から完全に遠ざけるしかない。
・寝食を忘れてゲーム等にはまるのは、強迫性の情熱。それに対して、人生を生きる価値のあるものにするのが、調和性の情熱。
・親が携帯電話やタブレット端末を頻繁に触る姿を子どもに見せることは、子どもを集中できない人間にする。
・成熟した愛情と配慮ある人間関係を望むなら、テキストメッセージでコミュニケーションを身に着けるのは望ましいことではない。媒体に縛られ、ともに時間を過ごすことを意識的に避けてしまう。
・ベトナム帰還兵がヘロイン常習から回復できた理由は、依存症になった環境から離れたから。依存症は記憶に埋め込まれる。
・依存症患者にとって一番危険な時期は、物事が上手く行き始めて、依存症を完全に捨てられたと思い込んだ瞬間。どれほど強い決意で依存症から回復した人でも、依存した対象を思い出す場所や関係者と再会すれば、また逆戻りしてしまう。
・ネット動画の自動再生により、現在は、見ないという判断をする必要がある。ビンジウォッチング(一気見)の弊害。
・慢性的な睡眠不足は現代病。
・自分の心理的な苦痛を和らげる手段として対象物を利用することを学んでしまったときに、人はその対象物に依存する。
・依存症になるリスクが最も高いのは、成人になりかける頃。その理由は、この時期は自分の能力ではまだ処理しきれない責任を無数に背負っているため。
・目標をよりどころに生きるのではなく、長い目で見て幸せになる確立を高める活動を日常的に行うことがおすすめ。
・人を依存症にするゲームが持つ3つの特徴は、①没入感②達成感③社会的要素があること。
・子どもが子ども同士で遊ぶ時間は、お互いのフィードバックを通じて感情を読み取る能力を身に着ける時間でもある。
・テキストメッセージの会話では、言葉にないものが偶然に生じたり、曖昧なものを許容したりする余地がない。
・依存的な行動と良い習慣は紙一重。
・ゲームではない体験をゲームにしてしまうこと(ゲーミフィケーション)は体験そのものを報酬にするという発想。
・多くの職場が真のゲームと異なっているのは、内発的動機を重視していない点。お金や特典や褒賞といった外発的報酬で働く者をつなぎとめている。
・歴史の終わり幻想(過去との違いは感じるが、これからの自分はずっと変わらず、自分の送っている人生もこれ以降変わらないと思うこと)。10年先のことを想像することが難しいから抱えやすい幻想。本人にとってはこれ以上作業する必要がないため、心地よく、まだ見ぬ変化に備える必要性も感じないでいられる。本書で取り上げたようなデジタルテクノロジーの進化は始まりに過ぎないかもしれない。だからこそ、デジタルテクノロジーとの付き合い方を考える必要がある。
今後に生かすこと
気力体力ともに充実しているときは、自制心でデジタルテクノロジーと上手く付き合うことができますが、常に健全な状態を保てるわけではないので、そういうときにどうやって軌道修正するのかが課題です(私の場合は寝室に極力スマホを持ち込まない)。
私はそれなりの年齢なので、自己判断となってしまうところもありますが、子どもとデジタルテクノロジーの付き合い方は、大人がきちんと関与しなければならない問題だと思い、気が引き締まりました。
大人ですら、引き込まれてしまう現代の依存症を誘発するようなビジネス…本書を読み進めていくと、実際に利用しているサービスもあるので、ぞっとしてしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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