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書籍:世界はラテン語でできている

「ラテン語」は、主に古代ローマで使われていた言語です。

古代ローマがイタリア半島からヨーロッパ各地に勢力を広げると共に、ラテン語も広がっていきました。

フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語などの元となっています。
英語の多くの単語はフランス語から影響を受けており、結果、ラテン語由来の英単語も数多くあります。

それ故、世界史上での様々な出来事はもちろん、現代の政治や科学の中でもラテン語が多くの影響を与えています。

ラテン語が我々の生活のどこに浸透しているのかを解説してくれている書籍が『世界はラテン語でできている』です。

世界史に興味がある方には超絶オススメです。
めちゃくちゃ面白かった上に、とても読みやすい内容でした。

読み進めている中で「え?それも?そうだったの?」と、何度も思わされました。

コテンラジオの「ユリウス・カエサル編」や「ハンニバル編」が好きな人は、かなりの確率で好きな内容になると思います。

著者のラテン語さんは、Xでフォロワー10万人に向けて、ラテン語に関する発信をされています。
書籍も複数出版されており、『テルマエ・ロマエ』の著者のヤマザキマリ先生との対談本も発売されました。

ヤマザキマリ先生の『プリニウス』や『オリンピア・キュクロス』もオススメです!

ちなみに2024年から『テルマエ・ロマエ』の続編『続テルマエ・ロマエ』が連載中です。
めちゃくちゃ面白いので、ぜひお読みください。

今回、『世界はラテン語でできている』の中から、個人的に好きだと思った言葉をピックアップしてご紹介します!

「オーストラリア」と「オーストリア」

「オーストラリア」と「オーストリア」という国があります。
子供のころに、間違えて覚えたり、区別がついていなかったりした人も、少なくないと思います。

比較的、日本人にとっては「オーストラリア」を、より身近に感じているのではないかなと思います。

「オーストラリア」といえばオセアニアの大陸国家で、コアラ、カンガルー、エアーズロック、シドニー、キャンベル、砂漠、サンゴ礁のようなイメージがあるかと思います。

「オーストリア」は、ヨーロッパの内陸国で、ウィーンのイメージが強いかもしれません。
世界史を学んだことがある人は、ハプスブルク家のイメージが強いと思います。

ラテン語由来の名前

「オーストラリア」の名前の由来は、ラテン語で「南の土地」を意味する「テラ・アウストラリス(Terra Australis)」から来ています。

大航海時代にヨーロッパ人から見て南にあるということで、そのように名付けられました。

当初はオーストラリア大陸の全体像がわからなかったため、ざっくりと南の方の土地全体を指して「テラ・アウストラリス」と呼んでいました。

ちなみに、絶滅した猿人の「アウストラロピテクス(Australopithecus)」の「Australo」は「南の」を意味しています。
「アウストラロピテクス」は「南の猿」という言葉です。

一方、「オーストリア」は昔のドイツ語からラテン語化されたもの「オーストリア(oster-riche)」が語源です。
この言葉の意味は「東の国」です。
「oster」は英語の「east」と語源が同じです。

「オーストラリア」は「南の土地」で、「オーストリア」は「東の国」という意味合いです。
発音は似ていますが、方向が全く異なるものです。

関連ワード

なお、ラテン語で南を意味する「australis」と、古いドイツ語で東を意味する「oster」は、さらに語源を遡ると同じ意味の言葉にたどり着くそうです。

それが「*h2ews-(読めない)」という言葉です。

これは日本語では「暁」、英語だと「dawn」に相当します。
この言葉がラテン語に変化する過程で「南」を意味する「australis」になったと言われています。

この「*h2ews-」を語源とする言葉は他にもあります。

代表例は英語の「オーロラ(aurora)」です。
「暁」が「オーロラ」と関係があると言われると、確かにという気になります。

ローマの皇帝「アウレリアヌス(Aurelianus)」も、この「暁」から派生した名前です。

さらに、フランスに「オルレアン(Orleans)」という都市がありますが、これはアウレリウスの名前を元にしています。

オルレアンという都市は、英仏百年戦争でジャンヌ・ダルクが最初に活躍した舞台としても有名です。

そして、アメリカ合衆国の「ニューオーリンズ(New Orleans)」という地名は、このオルレアンから来ています。


…このような、ラテン語由来の物事は世界中にたくさんあります。

他にも、カエサルやハンニバルにまつわるラテン語のお話や、「マグナカルタ」「宗教改革」に関わる話、12星座の名前の由来なども取り扱っています。

このようなお話を面白いと思える方にとって、『世界はラテン語でできている』は、かなりオススメの書籍です。
世界史に興味を持っている方は、特に楽しんで読めると思います。

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