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企業風土の怖さ。跡継ぎも楽じゃない。

創業者も二代目も、私は死んだと思っていますから、私が考えたとおりに人が動くだろうと思っていたんです。ところが、現実に人を動かしていたのは、死んだはずの創業者だったと(笑)。これが私が知った「企業風土の怖さ」ですね。

扇子商法  企業風土の怖さ

洋反物問屋の和田哲株式会社(現ワテックス株式会社)三代目和田亮介氏が語った言葉。「他人のせんところをしろ」と言われていたので、ハード(小売店など業者への生地の販売)だけでなく、ソフト(その生地を使った商品開発やアンテナショップに運営などの企画事業)も必要と新しいことを始めたとのこと。

実際に店舗を動かすのは人間で、その人間というのは、祖父のつくったハード部門だけやっていた従業員なわけで、急に企画などというソフトなんてできない。私の頭のなかではできていたんですが、実際の現場では「なす術をしらず」という状態だったわけです。アンテナショップにしても然りで、今まで消費者と直接かかわらなかった連中ですから、うまくかみあっていかない。

扇子商法  企業風土の怖さ

このとき、創業者が教えたとおりにしか動けない従業員を見て、「創業者っていうのは死んでも生きているな」と感じたそう。2、30年たちやっと、三代目自身が育てた従業員たちが会社の中心となったときに思うように経営できるようになったとのこと。

企業風土は、そのときのトップが号令をかけ、従業員がやってきたことの積み重ね。いままでの経験と考え方に基づく行動の結果。

自分の時代だからといって、思いどおりにできるものではないんだなと。結局はひと。たとえ、第三者から見て、効率がよくなくても、今までやり方しか知らない。正しいと信じていたものを根底から否定されそうになれば、そりゃ反発もする。新しいやり方覚えるより、手間がかかるやり方だったとしても、慣れた手順のほうがやりやすい。業務(ひと)がうまく回るはずがない。「跡継ぎは、なにもわかっていない。無能だ」と思われてしまう。

先代とまったく同じやり方であれば、何の問題もないのだろうけど。時代が違うのだから、昔のやり方がうまくいかなくなるときはある。

長く会社が続くと、ひとは入れ替わるのだから、企業風土も移り変わってあたりまえ。それを受け入れることも必要。年々技術進歩や流行りの移り変わりが早い。なにかで「流行ではなく、流動」といっていたけど、なるほどそのとおり。この時代とりあえず、まずは受け入れる柔軟性が必要なのかも。考えを受け入れて、いいか悪いかは、それから考える。

いつの時代も、新しい人は新しさを求め、古い人は今までやり方に固執する。そりゃうまくいかないよね。新しい人は、ちょっとずつ変えていき、古い人は、受け入れる。お互い歩み寄れればいいけどね。


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