やりたいことがなくなる日
職場で働いている78歳のおばあちゃんが言いました。
「毎日寝巻きと下着、変えるじゃんねぇ。今日もありがとうございました、って言うじゃんねぇ。そのままこっくり寝ながら逝けるといいなぁってねぇ。」
そこに寂しさはないのかな。
「もうやりたいことなんてないからねぇ。だって、毎日、五木さんと海老蔵さんのYouTube見てるがね。」
78年生きて思うこと、どんなだろう。
78年生きて考えること、どんなだろう。
この世界から去る準備をする、なんて悲しいと思うのは、幼稚でしょうか。
目の前のおばあちゃんは、不幸そうには見えなくて。
むしろ清々しさと満足感、この世のすべてへの感謝で包まれているように思えました。
「やりたいことがわからない」
これは、多くの若者が言う言葉です。
そして、私もその一人。
でも、おばあちゃんの言う「やりたいことがない」とは、また別のものなのでしょう。
私は、そんなふうに言い切れないです。
この世界でやってみたいことがひとつも無いなんて、言えないですから。
期間限定のコンビニのアイスクリームを食べたい。
あのアニメの続きが見たい。
本をたくさん読みたい。
文章を書きたい。
犬と触れ合いたい。
憧れの異国へ行きたい。
大切なあの人と、もう一度会いたい。
心がふわっと軽くなりました。
やりたいこと、たくさんあります。
いつか、私にも言える日が来るのでしょうか。
「もうやりたいことはないです」と。
さくら
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