異説・狂人日記〈受容〉(2023/07/15_マチネ)

※以下の感想はネタバレ度外視です。
 これからゲームをプレイしたい人、まっさらな状態で舞台を映像で観ようと思っている人には、まったくオススメできません。
 さらに、そもそも原作詳しいぜ! 〈拒絶〉も観てるぜ、という人には、「こいつ何言うてんねん」というトンチンカンな解釈が出てくるかもしれません。
 そのへん、ご容赦ください。


さて、そんなわけで感想です。

ひっさびさの激戦チケットやった。
原作がTRPGっていうのも影響したんやろうね。
(だってこれ自体が疑似舞台みたいなもんやんね?)
TRPGは、大学の時に同期がやってるのは知ってたけど、結局「なんやようわからん」と足を踏み入れないまま来たので、完全なる未知ゾーン。

事前にちらっとYou Tube公開されてるもの(亜音さんのやつとか)の出だしだけ覗いて、「ああそういやこんな感じで進むって聞いた記憶あるわー」だけ思い起こして即終了。
→ネタバレしないほうが面白そうというのと、単純にあれを延々と聞き続けるのはしんどそうとおもったからw(主に後者)

そんなこんなで、いつにも増して、原作知りませんモードででかけてきました。

で。

まずすごいなと思ったのは、素直に舞台美術。

あの規模の劇場で、プロジェクションマッピング的なことやっちゃうんだ!と。
もともとの室内の作りもいい感じのレトロ感で、良かったんですよ。
時代考証がどうとか、そういう難しいことは分かりませんが、概ねイメージとして持っている大正時代ってこんな感じ、というのに沿ってたなあ、と。
(はいからさんが通るとか、このへんだもんねー)
(わたしは少尉より編集長派←どうでもいい)
(一応世代じゃないですよ!伯母の蔵書で読んだんですよ!)
(でも、名作だと思う。はいからさん)

それをあんな風しちゃえるんだ、というのは純粋に驚きでした。

結局いくつの場面を共有してるんだ……?

センセのお家と病院とお兄さんちと怪しいお店と……あ、灯台もか。
(最終焼き場も兼ねてるなー)

違和感なく場面転換できるあのセットはホンマすごい。

セットとか証明とか音響の重要性は、前観たmissingで痛いほど分かってましたが、改めて裏方さんのお仕事に感謝と尊敬の念を送らずにはいられません。
いつも素晴らしい舞台をわたしたちに届けてくださって、ありがとうございます、と。

で、もちろんそこには役者さんの素晴らしいお芝居あってこそなわけですが。
いやー、ナニあれ。
どことってもスゴイ。

まずは椎名亜音さん。 

言うまでもなくこの舞台を観たい!と思ったのは亜音さんが出演されるからなんですが。

……役者さんの振り幅って想像超えますね。

6番シードさんもまだまだそんなに観てるわけじゃないですが、自分のなかで強い印象があるものと言えば、

・お紙ちゃん(瓦版屋)
・蟹子(シュリクラ)
・邪悪さん(12セナ)
・乱子様(天気と戦う女)
・社長(コルコネ)
・セグメト様(パラデュール)

とかなわけですよ。
邪悪さんはちょっと特殊ですけど(だからこれ観た時も衝撃だった)、基本的に(方向性は色々やけど)強めキャラが多い気がするんですよね。

そんな中で今回のセンセの奥様ですよ!

最初登場したとき、「えっ?」ってなりましたもん。
元々視力がよくない上に(ど近眼で鳥目気味)、最後列という配置だったので、残念ながら、あまり拝見したことのない方は、そもそもどなたかもほぼ分かりません。

ただ、かつて声優マニアだったわたしは、知っている声なら聞き分けられるのです。

そしたら。

なんかものっそ可愛らしい奥様から亜音さんの声がする!!!
わたしの耳鈍ったか? とマジで思いましたwww

え、あ、いや、可愛いけど、確かにこれ亜音さんだよね……?
としばらく舞台凝視しましたw

それくらい意外やったんですよ。
(だって、その前がセグメト様やもん。違いすぎるやろ)
でも、芯が強そうなところはやっぱり亜音さんに似合ってるかな。

本当に献身的でけなげで可愛らしくて、だからこそ、最後が切なすぎる。

そういう意味やとみんなあれよなあ(どれ)。

センセもそうやし。

〈受容〉って、最後の骨食べるか食べないか、という選択のことかなあと思っててんけど、もうちょい範囲広いんかな?

十三くんの主張を病気による妄想だと思いながら、それでも最終的に彼の言葉を「信じて」色々動いてくれますよね。
そこらへんもコミコミで〈受容〉なんかなあ、と思ったり。

複数パターンのある舞台は、両方観る主義やけど、これは確実にもう片方も気になるやつよな。
悲しくもチケット争奪戦には破れたので、主義にはイマイチあわないんだけど、配信チケット買うかな、とちょっと思ってる。
(だって気になりすぎる)

野口オリジナルさんの十三くんも、素敵にイカれてて(超褒め言葉)素敵でしたね。
12セナのときの「橋の上に立つ人」もやけど、狂気をはらんだ人やるときばっかり観てるww

でも、タイプが全然違ってて、十三くんの儚げな感じとかがすごい良かった。

地味に怖かったのは、お兄さん。
登場早々、態度豹変でめっちゃビビりました。
兄弟そろっておかしいんか? と思いましたが、後半、「そもそも誰もまともな人はいないんじゃね?(奥様除く)」みたいな気配満載で、ミジンコハートのわたしは終始ビビりながら観てましたw

ていうこと書きながら思い出したのは、ひぐらしのなく頃にを(人間の狂気という)恐怖に打ち震えながら読んでいた日々。
(同人版です)
(ノベルゲームと思ってたら選択肢がない上に、推理モノかと思ったら、謎だけふっ掛けられて終わるw)
(「解」まで読まないと救われない。途中で挫折すると自分が痛い目みるある意味ひどい話www)
(とかいいつつちゃんと最後まで読めたのは面白かったからなんだよなあ)

恐ろしいのは、いつだって人間、ということですね。

淡々と進む、というのも、底冷えするような異様な怖さを醸し出すには、必要だと思うんですよね。
そういう意味でも、あの独特な雰囲気を全体通して均一なレベルで保っていて、舞台としての完成度がめちゃめちゃ高いな、と思った作品です。
(何を偉そうに)

わたしは物語のどこかに(わたしなりの)救いや幸せがあって欲しいと思うタチなので(できればハッピーエンドがええねん!!)、正直、物語として好きかと聞かれたら、そうではない、と答えますが。

間違いなく、観て良かった作品でした。

あー、やっぱり〈拒絶〉も生で観たかったな!

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