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【コラム】「賃上げ促進税制」/賃上げすると企業が儲かる


今なぜ物価は上がるのか?


 2月4日に、このようなコラムを書いた。

 知らんうちに私の記事にしては多くの方に読んでいただけているようである(笑)

 詳細は記事を読んでいただくのがいいのだけど、ザックリ言うと

「現在の物価高の主要因は原油高でも円安でもなく賃上げである」

という事である。

 で、2月17日に2024年度の日本のGDPが発表されたことを受けて、経済学者の野口悠紀雄さんが書いた記事をみつけ、これが私の主張と同様だったので、リンクを貼っておく。
 やはり経済の専門家なので、非常にわかりやすく解説してある。

 前述の私の投稿の末尾に私が書いたのと同様、野口さんはこの記事の中で

「つまり、経済はスタグフレーションに落ち込む。それがいま日本で起きていることだ。」

と記述している。

 また、この記事の中でも触れているGDPに関して言うと、名目GDPは2.9%の上昇になってはいるものの、実質GDPの上昇はは0.1%と、横ばいの範囲内であり、日本政府、日銀、経団連をはじめとする経済団体が声高に叫ぶ「大幅な賃金上昇」が5%を超えているという事から考えてこれは理に適わないことなのだ。
 野口さんの記事ではこの件に関しても詳細に説明されている。
 ぜひ読んでみる事をオススメしておく。

 と、そんなことを踏まえた上で本題。

 ちなみにこの件はかなり重要な案件なので、後日「Grokとの対話」として連載コラムとでAIの見解も交えて投稿予定である。

賃上げすると企業は儲かる

 前述の私の記事で書き忘れたことがあった。
 忘れていたというより、ずいぶん前から行われていることなので、意識に上らなくなっていたという方が正しい。
 これは野口さんの記事でも触れられていないのだが、非常に重要な事実なので提示しておかなければならないと思い、記事にした。

賃上げ促進税制

 日本政府は2013年から「賃上げ促進税制」を導入しているのだが、これを2024年に拡充し、企業が前年比3%以上の賃上げを実施すると法人税を最大35%控除するという制度である。

 でもこれ、おかしくないか?

企業は二重に利益を得ている

 がおかしいかというと、昨年あたりから企業は事前に賃上げ分を価格に転嫁している。
 ということは、賃上げをしても企業の利益は減らない。すなわち、賃上げの原資は起業の利益とは別に価格転嫁によって確保されているという事である。
 そして、企業は「賃上げ促進税制」により、法人税を控除されているので、その分利益が上乗せされているのと同義なのである。
 本来は、賃上げによって縮小される企業の利益を補填するためにあるはずの「賃上げ促進税制」が、価格転嫁によって利益が全く縮小されていない企業に対して適用されているのだから、賃上げした企業は本来の利益に上乗せされる形で二重に利益を得ていることになるのである。

これで様々な謎は解ける

 消費者の感覚としては、企業が価格を上げる理由は「それをしないと経営が成り立たなくなるからそれは可哀そう」という感情論で価格転嫁を受け容れている。
 しかし、そもそもこの前提が崩れている。
 企業は本来の活動による利益が多かろうが少なかろうが、賃上げ分を先に価格転嫁しているのだから、先んじて原資を確保してあることになり、利益の圧迫は一切なく、すなわち賃上げで「経営が成り立たない」なんてことはないのである。
 逆に「賃上げ促進税制」により利益は更に増える、ということになる。
 そして結果的に企業は「史上最高益」を出すのだ。

 消費者は気付かなければならない。
 「史上最高益」なのに、なぜ価格を上げるの?という疑問をちゃんと持たなければいけない。

 企業が賃上げの原資を価格転嫁するのなら「賃上げ促進税制」は廃止すべきである。
 そりゃそうだろう、企業の利益は賃上げによって一切減らないんだから。
 それならこんな企業優遇税制を止めてその分を国民に対する減税の財源として使えば良いのだ。

 逆に「賃上げ促進税制」を生かすのなら、企業は価格転嫁を止めて自らの利益を縮小させる形で賃上げをしなければならない。

日本政府と経済団体の癒着

 これが、現在の物価高騰の正体である。
 理屈で考えても「賃上げ促進税制」は即時廃止すべきなのだが、政府はそれをしない。
 それは経団連が牛耳る大企業が利益を増大させることによって日本政府の増収となり、また天下り先としての企業の利権を守れるからである。

 日本政府は腐っている。
 だから国民はしっかりとそれを見張り、不満があればガンガン声を上げ、日本政府を攻撃し、政権を潰して転覆させる覚悟を持つべきなのだ。

物価は上がり続け、実質賃金は上がらない

 このシステムがある限り、物価の上昇は止まらない。止まるはずがない。賃上げで利益が増えるんだから、ただひたすら価格転嫁を続けるだろう。
 ということは、そのまま実質賃金がプラスになることはないということだ。
 いくら賃上げ率が大きくなっても、最低限それと同率で物価が上昇する限り、特に中小零細の実質賃金は絶対にプラスにならない。

 これを止める手段がない前提で、国民生活が救われる手段を考えるとすればそれは「減税」「社会保険料の減額」である。
 これ以外に手段がないのだが、現政府は絶対にこれを受け容れない。

 それならば、国民に残された手段は、日本政府の打倒であるし、日本の緊縮財政派の壊滅である。

 日本の緊縮財政推進勢力を挙げておく。

・自由民主党
・立憲民主党
・公明党
・日本維新の会

 少なくとも、この4党と、これらの党がなんらかの形で関わっている議員に対しては選挙で拒絶を突きつけることだ。

 現状においてこれ以外に日本国民が救われる手段は無い。

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