食20230203FR
昨夜、妻が鍋の用意をしてくれてあった。基本的に平日は飲酒しないことにしているわけだが鍋とあってはそれを律儀に守っているわけにはいかない。仕方なしに24時間営業のスーパーでビールを購入して帰宅。
ちなみに私はコンビニエンスストアでの買い物はしない主義なのであくまでもスーパー。コンビニエンスストアはATMの利用とコンビニ限定商品の購入以外に立ち寄ることはない。コンビニ限定商品と言うのは例えばセブンイレブンで言えば中本のカップラーメンとかそういう類である。
話は逸れたが鍋である。いや、鍋は美味かった。ビールも美味かった。全く問題ない。で、朝になって残り汁をぼんやりと眺めながら思案した。というのもこの残り汁を排水口に流してしまうと油分が配管のどこかで固まり、詰まりに発展する可能性が高いという事をネットのニュースで閲覧してしまった事で不安を感じた覚えがあったからであるつい最近。
いや実は。1年ほど前に当家では実際に配管のつまりが発生し、クラシアンに除去を依頼、高圧洗浄機を使用した作業により4万円近くの支払いが生じたのである。当家は築30年で、その間にこのようなガッツリした配管の詰まりは起こしたことが無い。30年の間、今回同様の鍋の汁、インスタントラーメンの汁、肉料理をした後のフライパンにこびり付いた肉脂等々、無頓着にガンガン排水口から流しまくっていた結果として配管は元より家の外の汚水桝の中に至るまで脂が少しずつ固着していたのである、まったく気が付かないうちにじわじわと。
で、ちょっと調べてみると様々な対処法があって、その中で割と現実的だと思えたのが凝固剤なのだが、注意点として「水分を吸うと膨張するので排水口には決して流してはならない」というのがある。もちろんせっかく汁を凝固させ個体として廃棄するという目的で使用するわけだから故意に排水口に流すなんてことはしない。だがしかし。鍋の中に残った残り汁に凝固剤をぶち込んで固めた後それをゴミ箱に廃棄するというそこまでは良い。問題はその後であって、凝固剤が付着した鍋を洗浄もせずに再利用するということはまず無い。たいていは一旦洗浄・乾燥してから使用するのであって、その洗浄する際に残っていた微量の凝固剤が排水口から配管内に侵入し、それが何度となく繰り返されながら年月が経過すると「塵も積もれば山となる」という諺の通り、いつしか配管は詰まりその除去作業を業者に依頼してまた4万円の出費に繋がるかもしれない。それはもしかしたら30年後かもしれない。その頃には私は90歳近くの老人である。年金暮らしの老人にとって4万円と言う高額出費は死活問題、いや、活きるという選択肢は限りなくゼロでいきなり4万円の支出が発生すれば死の一択である。
そんな一択はいやなので残り汁を睨みつけながら5分ほど考えた結果として私は炊飯器に残った白米を投入、ぐつぐつと煮込み更に生卵を割り鍋にふたをして暫く待機、頃合いを見計い立派に出来上がった雑炊を茶碗に移して一味唐辛子を振りかけてこれを朝食としたのである。美味かった。そして微かに残った汁はキッチンペーパーで拭き取ってゴミ箱に廃棄。配管も詰まらずに済んだと、こういう次第である。我ながら5分の間に良く考えたものだと感心した。はやまって凝固剤を買わなくてよかった。30年後に発生するであろう4万円の支払いを食い止められ、またそれによって生じる自分の餓死を防ぐことができた。
私は雑炊を喰った後、食器類の洗浄を行い、風呂の掃除をしてゆったりとした気持ちでコーヒーを飲んだのである。