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鐘は鳴らさなければ鐘ではない。
歌は歌わなければ歌ではない。
愛もまた、人に与えるまで愛ではない。
愛は心に秘めておくために与えられたのではないのだから。
古代から宗教的な儀式に使われるなど、神聖なものとされてきた「鐘」。
日本でみられるお寺の鐘は「梵鐘」といい、その荘厳なひびきと余韻には、鐘の音が消えていくと同時に、すべての煩悩も消えることを願います。
平家物語にある「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」は、いわゆる日本的、仏教的な無常観を伝えていますね。寺から聞こえる鐘の音に清浄さをおぼえるのは、この「諸行無常の響き」に抱いた印象がつよく残っているからかもしれません。
一方、西洋でみる教会の鐘(チャーチベル)の音は、祈り、感謝、希望などをあらわし、「神の愛に見守られている喜び」を受けとめる音といわれます。また教会にかぎらず駅やホテル、公共施設などで、カランコロンと美しい調べをとどけるカリヨンベルの生音は、幸せを呼ぶ音、平和の象徴とされてきました。
あのカリヨンの調律された鐘の音も、耳にするだけで心が整うような、片付くような、許されるような気持ちに包まれるから不思議です。クリスマスも近いこの時期は、どこからともなく聞こえてくる鐘の音があるかもしれませんね。今日もいちりんあなたにどうぞ。
サンダーソニア 花言葉「福音」
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