読書感想文~The psychology of money
こんにちは、ともです。今回は、「The Psychology of Money モーガン・ハウセル 著 児島 修 訳」を読みましたので、内容をまとめたいと思います。
本書のタイトルを日本語に訳すと、「お金の心理学」となります。経済的成功のカギは学歴や知識などの「ハードサイエンス」ではなく、複雑な人間の心理・行動が大きく関わる「ソフトスキル」である、と著者は主張します。「半年分の生活防衛資金を」「給料の10%を貯蓄せよ」など、お金の分野は数字で語られることが多いと思います。しかし、そのような知識も行動に移さなければ意味がありません。お金に関する正しい知識を持っていても、感情に流されて不適切な行動をしてしまうこともあります。そういった意味で、「お金の心理学」なのでしょう。
本書は、20の章に分かれ、それぞれ重要なお金に関するマインドが書かれています。1冊を通してひとつのストーリーのように書かれていますが、それぞれの章を分けて読むことも可能です。今回はいくつか抜粋して取り上げます。では、内容に入っていきます。
〇決して満足出来ない人たち
本章で述べられているのは、「足るを知る」の重要性です。巨額の資産を得ながらも「貪欲さ」に駆られてしまい、全てを失った2人のエピソードを例にあげています。2人はともに、事業で成功しながらも詐欺などの犯罪に手を染めてしまったとの事ですが、僕たちに関わるのはより素朴な教訓だと思います。
FIREを目指して達成した人達も、多くが「十分なお金が貯まってもなかなか仕事を辞められなかった。あと1年という気持ちが出てしまった」とよく言います。しかし、それは得られるはずの幸福を先延ばしにすることにもなってしまいます。先に進み続けてしまうゴールポストを、適切な位置で止めること。今経済的自立を目指している僕たちにとっても、「足るを知る」ことは重要でしょう。
〇お金が人生にもたらす最大の価値は自由
とある心理学の研究において、幸福度の高い人々に見られた1番の共通点は、「人生を自分でコントロールしている」という感覚であった。これには心の底から納得できます。好きな時に好きな人と好きなことをする、これを目標として、経済的自立やFIREを目指している人は多いでしょう。
また、この「自分でコントロールしている」を別の視点からも注目しています。どんなに好きな趣味でも、強要されるとやりたく無くなる、という感覚です。心理学では「心理的リアクタンス」と言うそうです。どんなに仕事が好きでも、「やらなければいけない仕事」はやりたくないものです。その点、経済的自立を達成した後の仕事は、「自分の意思で行っていること」ですので、仕事そのものを楽しめるようになるかもしれません。
〇あなたは変わる
本章は、「長期的な計画の難しさ」について書かれています。長期投資で成功した先人たちを参考に、10年20年単位でのFIRE計画がブームとなっている今の現状に一石を投じる内容です。
「あなたは変わる」の例として、医師になるという夢を叶えたある男のエピソードが挙げられていました。長年の努力の結果医師になったが、想像以上の長時間労働とストレスでやられてしまったそうです。しかし、医師免許を取るために多くの時間を費やしてしまったので、辞めることも憚られるのでしょう。いわゆる、サンクコスト(既に投じられた回収不可能なコスト)です。このような事は日常でもよく起こると思います。仕事に関しては僕もそれなりの努力の結果医師をしていますので、上記のエピソードには共感できる部分もあります。しかし、いい意味で今の仕事に執着しておらず、全く関係のない分野にもいろいろ興味があります。医師をめざして努力したことは、もし仮に医師を辞めても無駄にはならないと思います。サンクコストを意識しすぎず、適切な距離感を保てていると自負しています。
経済的な点で言えば、今目標としているFIRE計画は、この先も自分の目標となりうるのか?この先も適切な方法として機能するのか?ということでしょうか。長期的な目標にばかり捕らわれて今を犠牲にすることは、将来的なサンクコストになってしまいます。その結果、将来目標が変わっても柔軟に計画を変更することが出来なくなってしまうリスクがあります。そうならないために、今と将来の両方を豊かにする計画が大切だと思いました。
20章あるうちの3章について、感想をまとめてみました。思った以上に読みやすく、自分のマネーリテラシーを見直すきっかけになる1冊だと思います。まだ読んでいない方はぜひ!