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機会を創るだけで貧困問題の解決に繋がるのか?Vol.2
前回、「機会を創るだけで貧困問題の解決に繋がるのか?Vol.1」を書いたので、まだ読んでいない方は是非Vol.1から読んでもらえたら嬉しい。
Vol.1の記事で、貧困問題を解決するうえで、「教育」「雇用」などの機会を創ることはもちろん大事だが、「尊厳」をもって接することが大切であると書いた。
これに加え、もう1つ大切なことがあることを学んだので、それをシェアしたいと思う。
先日、インド最貧困州と呼ばれるビハール州の、その中でも特に貧困地域として知られる村の1つの出身で、ハーバード大学に進学し、その後17年間、女性の経済的自立支援や子どもの教育支援に取り組んできたインド人の方とお会いした。
そんな奇跡的な彼の人生について書かれた著書を読んでいるので、それについてもシェアできたらと思う。
彼とはビジョンも取り組む課題も近しく、様々な視点から学ばせてもらった。
私は外国人で、たった4年しかこの地で活動をしていないけれど、彼とお互いの経験や考えをシェアする中で、深く共感したことがある。
それは、貧困地域出身の人たちのために教育や雇用など機会を創ることはできるが、その機会を最大化できる人は多くはなく、「人のマインドに変化を起こすことは最も難しい」ということ。
生まれた環境に関係なく、質の高い教育にアクセスさせたり、安定した職を得るための職業訓練、雇用機会を創ることは、貧困問題の解決策になる。
最初は彼らもそのような機会の重要性に理解を示し、ともに取り組みを始めるが、途中で辞めたり、逃げてしまうことはよくある。
中長期的に将来を考えれば、教育が子どもの未来にもたらすポジティブなインパクトや、安定した収入により、選択肢の数が増え、将来的に良い循環が生まれることは、理解できるはずだ。
ただ、これまでの人生で、ずっと家計がギリギリで、経済的に困難な生活をしてくると、「明日、明後日どうしようか」と短期的な思考にならざるを得ない。中長期にメリットがあると思われる機会があっても、目先の利益に飛びついて機会を手放したり、突然の困難が訪れると、それを優先して、機会を逃していく人たちもいる。
そういった人たちに、機会を創り、より良い未来になって欲しいと願って社会問題の解決に取り組んでいる身からすると、理解できない行動をされ、裏切られた気持ちになることも多々ある。
ただ、彼はこんなことを言った。
「我々、社会活動家は、これから創ろうとしている機会と、その機会による未来の可能性を、彼らの言葉で伝えていかなくてはならない。
彼らと同じ目線にたち、彼らの"言葉"で伝わるように、伝えることだ。
言葉とは、単純な"言語"ではなく、彼らのバックグラウンドや思考から、彼らが理解できる言葉で伝えるということだ。
我々が創った機会によってどれだけ今後の人生が変わるか、本当の意味で伝わったとき、彼ら自身が変わり、社会は変わっていくと思う。」
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彼の言葉を聞いて、共感するとともに、
想像できれば、創造できるのではないかと考えた。
つまり、教育や雇用など、機会を創って終わりではなく、
その機会によって、彼らの将来がなぜ、具体的にどのように変わっていくか、彼ら自身が想像できたとき、本人がその未来に向かって真剣に取り組み始め、自らポジティブな未来を創造していくことができるのではないかと思う。
社会問題の解決に取り組むうえで、データを見たり、当事者にヒアリングをして、どのように機会を生み出せるか、その原因や解決策を深く思考していくことは大事だ。
でも、もっと大事なのは、彼らの隣に座って、彼らと同じ目線で世界を見ようと試みる、想像力なんじゃないかと思う。
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