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モクレン
モクレンの花が咲いた。
なんだかとても嬉しい。
近所のスーパーに向かう道沿い
公園の植え込みのモクレンの樹
ふわふわの産毛に覆われた緑色のつぼみが
見るたびに膨らんでいく。
「もうすぐ春が来る」と、期待に膨らむ胸みたいに。
モクレンの花が咲いた。
なんだかとても嬉しい。
6年間暮らした花巻の日々を思い出す。
家賃3万(駐車場代500円)の木造のアパート
上の階のおじさんの携帯のバイブレーションまで聞こえた。
これからもうあんなに遮二無二働くことはないんだろうなぁと思うぐらい、
昼も夜もなく、平日も週末もなく働いていた。
アパートから会社まで歩いて5分
曲がり角の一本のモクレンの樹
どこかの家の庭木だったか
厳しい岩手の冬
すべての植物が葉を落とし、
道は厚い雪で閉ざされる。
冬は町の色を忘れてしまうぐらい長い。
長い長い冬を破って、
モクレンが一番初めに花を咲かせる
大きくて白い花びらは
まるで手のひらのようだなと思った。
「春が来た!」と拍手喝采をして