嫌いだった沖縄が、奇跡を生む
こんにちは。こうのさきです。
今回は沖縄を舞台にした小説を紹介しようと思います。家族との思い出の場所を巡り、そして過去も巡っていく、不思議で素敵な作品です🌺
それでは始めます。
アンマーとぼくら / 有川ひろ
これは母と出かけるために里帰りしたリョウのお話です。その母とは実は血が繋がっておらず、実の母の死後、父が再婚した相手だったのです。
リョウが小学4年生の頃、彼は実の母を亡くしました。父は癌になってしまった母を露骨に避けるようになり、カメラマンであった彼はしょっちゅう撮影旅行に出かけるようになりました。母の最後も看取らず、撮影先の沖縄で新しい恋人を見つけていたのです。
「お父さんを許してあげてね。お父さんは、ただ、子供なだけなのよ。」
これは今際の際に母がリョウに遺した言葉です。この言葉の意味が、物語を読み進めるにつれて分かるようになります。
母が死んで約1年で、新たな女性”晴子さん”と再婚した父。それまで住んでいた北海道を離れ、沖縄に移り住むことになりました。しかし父のせいで沖縄アンチになっていたリョウ。その土地での生活や文化に、なかなか慣れることができませんでした。
そんなリョウに屈託なく接してくれたのは晴子さんでした。そのころのリョウは自分の気持ちを正直に伝えることができませんでした。しかし大人になった今、その気持ちを打ち明けるのです。
「過去は変わらない。変えられるのは、今だけだ」
この言葉が胸に染みます。
そして”おかあさん”となった晴子さんと共に、思い出の地を巡るリョウ。その行く先々で、過去の自分たちの姿が見えるようになります。楽しかった思い出も、そして辛かった記憶も。
父が亡くなった母について語るシーン。そしてリョウに母のことは忘れろと告げるシーンには本当に腹が立ちました。けれど突然現れた男の人の存在に、涙が溢れそうになりました。
読み進めるにつれて、子供のような父の感情や葛藤が伝わってくるようになりました。許せなかった父の行動も、徐々に受け入れられるようになりました。そしてたくさん喧嘩して、たくさんぶつかり合って、彼らは家族になっていったのです😌
そんなことを思い起こさせてくれたのは、慈悲深い沖縄でした。3日間という短い時間に、彼らのすべてが詰まっています。
家族の大切さ、そして絆を改めて感じたこの作品。一度手に取ってもらえると嬉しいです。
それでは今日はこのあたりで。
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