夏目漱石の『こゝろ』の普遍性
今日9月19日は何の日かごぞんじですか?
俳人・正岡子規の命日なんです。
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の名句や、『墨汁一滴』などの随想日記を書いたので有名ですね。
同時に、日露戦争に記者として従軍もしています。
司馬遼太郎の『坂の上の雲』にも登場するぐらいですからね。
そんな子規の唯一無二の親友といえば、夏目金之助、のちの夏目漱石以外ほかなりません。
帝大時代の同窓で、漱石は、子規から俳句を学びます。
つまり、漱石にとって子規は、親友であり師だったんですね。
ちなみに「漱石」というペンネームも、元々は子規の筆名のひとつをもらったとか(なお正岡子規の本名は、正岡常規(つねのり)。
そんな子規の命日は糸瓜日(ヘチマ日)というのですが、わたしはあえて漱石の『こゝろ』のラストを手書き模写してみました。
太宰治の『人間失格』とならんで、日本一読まれた小説『こゝろ』。
わたしはこれをはじめて読んだ時、なんとも言えない気分になりました。
エゴイズムやら、乃木希典の殉死やら、明治の精神やらなんやら分からなかったですが、「人はこうも思いつめるのだな……」と感じた15の夜。
もっと世界的に読まれて然るべき名作です。
なんで、三島由紀夫や村上春樹などの戦後文学は読まれて、夏目漱石はあまり世界的じゃないのでしょう。
普遍的テーマを扱っているというのに……
20世紀を代表するピアニスト、グレン・グールドは大好きだったみたいですが。
この原稿用紙は、漱石が特注で作った二百文字詰め原稿用紙です。
いわく、当時の朝日新聞の連載の文字数が200文字だったから、それに合わせた、とか。
模写していて、スゴいな、と思ったのが、しっかり内容がまとめって入るのですよ。流石だなあ、と。
わたしは、神奈川近代文学館で、この復刻版を買いました。
紙の重厚感があって、ふつうの原稿用紙とはまた違った書き味がありますよ!
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