読書記録【犯罪心理学者は見た危ない子育て】
犯罪心理学者は見た危ない子育て
著者 出口保行
出版 SB新書
【感想】
少年鑑別所、刑務所、拘置所で一万人以上の非行少年、犯罪者の心理分析をしてきた著者が、『子育ての失敗事例』について、親の養育態度を心理学的観点(サイモンズ式分類)から「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」に分類し解説しています。
これらの分類は、誰にでも当てはまるものではありますが、どのタイプであれ、行き過ぎると『危ない子育て』になるわけで‥偏らないバランスが重要だと著者は述べています。
現代は情報の多い社会で親も子育てに迷いやすい。また、人間に備わっている確証バイアスから、考えに偏りがあっても、自分を肯定する情報ばかりを集めて、振り返ることをせずに、自分を正当化してしまいます。だから、親も子育ての間違いに気付けずに方向修正が難しい。
子育ては難しい。迷うこと間違うことは当然ですが、親が学び、もし間違っていると気付いた時は、子供に説明をし、再度一緒に取り組んでいく。そうすることで、親子の信頼関係も育まれていきます。
子供は、一人格として、発達段階に応じた乗り越えるべき課題があります。発達心理学者エリクソンの発達段階理論では各次期で自分で向き合って葛藤することが重要と述べており、親は課題自体を奪ったり、達成の機会を奪わないように見守ることが大事です。
親が介入し過ぎると「過保護型」「高圧型」「甘やかし型」「無関心型」に偏りが生じて、心の成熟が上手くいかずに、集団や社会の中で自分や他者を大事にし生きていくことが難しくなる。その極端な行為が犯罪。
また、この本では著者が見てきた薬物乱用者の末路も紹介されています。
「一回だけならと手を出しておかしくなった人を何人も見てきた」フラッシュバックは何年たっても起きるし、回復も滅多にできない。「知性を失い自分の排泄物を平気で食べる。刑務所の中でそのまま死を迎えるのを待つだけ‥」
薬物は恐ろしいです。
この本を読んでわかったことは、
『親が自分と向き合う重要性』です。
自分を知らないと、偏りがあっても気付けない。
子育てにショートカットは無い。しっかりと生身の人間同士で時間をかけて向き合うことが大事。子育ては便利なガジェットに頼り過ぎず、誰かの教えてくれる攻略方法に当てはめ過ぎない。
この本の付録には、子育て4タイプチェックリストもあり、行き過ぎた子育てをしていないかチェックすることができます。
タイプ別のアドバイスを保護者向けにキュッとまとめると、
過保護型:心配だけどグッと堪えて見守ろう
高圧型:自分のコンプレックスを子どもに投影していませんか?子どもに自己決定を!
甘やかし型:楽ばかりはダメ。子どもに葛藤の機会を!
無関心型:毎日数分でもいいから子供の話を聞いてあげて!
著者は、最後に
子育てには正解は無く、それぞれの家庭の環境やスタイルがあるが、もしも自分の子育てがこの4タイプのどちらかに偏っているのなら
『親の子育てが子供にどんな影響を与えてきたのかを気づくこと』
『家族で話し合う習慣をもつ』
『言葉で表現する練習を(子供達の語彙力低下がある。本離れ)』
が重要であると述べています。
結局、ちゃんと子供の顔を見て話す。挨拶や感謝の気持ちを言葉にする。人との繋がりを大事にするといった基本的なことが重要なんだなと再認識できました。
大変勉強になりました。ありがとうございます。
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【この本から学べる子育てポイント】
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