阪田健太郎です、塾の経営やあやふやなことをしています 1982年6月2日。広島県で誕生。2000gを切るほどの低体重児としてスリムかつスマートに生まれる。 幼稚園時代。NHK『人体の不思議』を見て、キラーT細胞とマクロファージのかっこよさに心酔し、祖母の買ってくれた本版を舐めるように読む。幼稚園の先生の「音が聞こえるのはなぜ〜?」という質問に周りが「耳ー!」と答えるなか、「外耳道を通って鼓膜を震わせ、それが耳小骨に伝わって、その振動が蝸牛のなかのリンパ液を震わせて、、、」
宮崎塾にやってきて早3年、ブログの存在は知りながら、宮崎先生にお任せし続け、自分もブログを書かねばならぬ、ならぬならぬと思い続けてようやく重い腰(こないだ体重計に乗ったら77.7kgで「大フィーバーだ!」と思いました。俺の脂肪が確変中です)を上げました。阪田です。宮崎塾では英語や国語などを担当しています。どうぞよろしくお願いします。 年月というのは恐ろしいもので、尾道に越して来てもう5年以上が過ぎました。長女も明後日には6歳になってしまう……。子育てと仕事に明け暮れているう
観よう観ようとは思いながら、忙しさにかまけている間に最寄の映画館でかかるようになったので、遅ればせながら『花束みたいな恋をした』を観てきたら、時間が経つごとに脳が侵食されて感想が湧き出てきたのでめちゃくちゃ久しぶりにnoteを開いています。刺さる!という前評判は聞いていたものの、鑑賞直後は「は~良い映画だったなぁ」くらいの気持ちでしたが、考えるにつれ、いやこれほんとにすごい作品なんじゃないか、と思うようになってきました(現在鑑賞後6時間経過) だいぶ周回遅れで観たので、さす
『ジュンのための6つの小曲』古谷田奈月 38歳の誕生日を大鬱からの立ち戻りのさなかで迎える。 多少乗りこなせるようになったとは思っても、実際に大波の中に捕らわれてしまうと誤差の範囲内でしかない。 あ~もう仕事向いてないんだろうな、とか思うけれど、仕事をやっていなくたって鬱はやってくるだろうので、もうどうしようもない。 嫌なことがトリガーになるけれどそれが仕事とは限らないし、誰かに笑われた気がするとか、気圧が低いとか、自分とは全然関係ないRTされてきたツイートだったりす
『バームクーヘンでわたしは眠った』柳本々々(春陽堂書店) 昨年の11月からこっちずっと体調が悪く、ばたばたと日々が過ぎ、あらゆることが流れ去っていく。さすが裏運気、大殺界。マイコプラズマ、ノロウィルスときて、冬季鬱にコロナウィルスときたもんで(コロナウィルスかかってないけれど)まったく心が休まらず、大抵このくらいの暖かい時期にでもなれば、おら躁が来たぞ!引越しだ!旅行だ!と思うくらいには回復しているもんだけれど、コロナ関係なくそんな気力もないくらい日々は急速に流れ、逆らって
堀江敏幸『ゼラニウム』中公文庫 仕事が再びばたばたしていたので、少しメンタルがやられていたが、ちょっと休んだので回復した。 社交をしなくてはいけないのだけれど、社交には大変エネルギーを使うので、初対面の人との社交は相当元気ゲージが溜まっている時でないと難しい。自分の話をする意味もあまり見出せないし、なんなんだろうなーと思いながら時間を過ごしている。会話から得るものなど副次的なものでその時間をなんとなく楽しんで過ごせばいいのだろうけど、それがなかなか難しい。 心を許して話
最果タヒ『恋人たちはせーので光る』(リトルモア) 今年前半戦は死ぬほど具合が悪く、さすが細木数子の言う通りだな、と思いながらのたうちまわっていたのですが、後半に入ってくると徐々に健やかな気持ちになってきて、ワンワン!と大きな声で吠えられるようになってきました。ワンワン! 迫り来る締め切りとがっぷり四つに組んで見事寄り切り、後ろに倒すことに成功するも、その結果すべての締め切りが一気に集中してしまうという地獄が現出するなんて誰も教えてくれなかった。俺が小学校で休んだ日に男子だ
skeleton key 意味:親鍵・マスターキー 同義語:pass key / master key 0 車のウィンドウに雪がはらはらと降ってくる夜。街の灯りを反射するように綺麗な星。 君の家の近くの山道に車を止めた。 君の手が、泣きはらした僕の目を押さえ、頬に伝う涙の線を辿った。 僕は何か言おうとしたけど、頭の中がぐるぐる回って何も口にできなかった。 君の手がふわりと僕の膝の上にのった。 僕は少しだけうなずいて、車を出した。 君の手を握る。 僕は少し
ほんとのさいごに、 きみとの思い出を。 きみといられなくなってからどれくらいたつだろう。 いつまでもきみはぼくの頭の中からいなくならないんだ。 きみとぼくは、毎日一緒にいて、 楽しいことも、 辛いことも、 分け合ってきた。 どこに行くのも一緒で、いつでもそばにはきみがいた。 きみと出会ったころのことは、ぼんやりとしか思い出せないけど、 きらきら輝くきみがぼくの目を引いたんだ。 出会ったその日から、磁石みたいに惹かれあったぼくたちは毎日同じ時を過ごしたよね
「わたしの会話を誰かが書き取っているような気がするんです。」 「言葉を発したその先から、何かに書き付けられるかのように、わたしの発言が固定されたかのように思うんです。何気なくふっと喋ったことなのに、それはわたしの本意ではないのに、まるでわたしが心底それをそうだ考えているように誰かに捉えられてしまうみたいな気持ちになるんです。ねえこれって病気なんでしょうか。」 「そうなんですか。心因性の。」 「先生、それって当たり前のことじゃないですか。わたしはわたしの心でできていて、わ
いつの頃からは知らないが、11月11日は『ポッキーの日』だ、ということらしい。わたしが子供の頃には、そういったものはまだ無かったように記憶しているが、1が4つ並んだ様子をポッキーに見立てて、のことのようだ。通例こうした記念日というものは、読みから、いわゆる語呂合わせで定まっているものが多い。11月22日は『いい夫婦の日』、8月8日はパチパチという音で『そろばんの日』といったようにだ。他にも5月4日はスターウォーズの日であるようだ。"May the force be with
色を移した葉の落ちる音。冬の足音が近づいてくるとは言うけれど、いわゆるその足音は、のっしのっしでもどしんどしんでもなく、しんと静まり返ったなかにそっと微細に鼓膜を震わすものなのだろう。大きな声で騒いでいては、その足音を聞き逃してしまう。わあわあわいわいというのも楽しいものだけれど、小さな季節の訪れを聞き逃してしまわないようにしたい。温度にともなって生物の活動力が低下し、しんと静まり返った冬の世界を、わたしたちはエアコンでファンヒーターでストーブであらゆる暖房器具でもってして
実行犯の吉崎茂雄(54)は、ふたご座で趣味は園芸、休日はたまにゴルフに行き、運動不足を解消し、大自然に囲まれた上に運動もできていいななどと小市民的感想を抱き、家に帰って、夫婦の会話もないままにビールを飲んでいたが、一方そのビールを製造している工場では、パートの検品担当松田美子(27)が、今日も気だるそうに形崩れしてしまった缶がないかどうかを、妙齢の男性を眺めるかのように見やっている、しかし、実際に妙齢の男性を眺めるときの目とは、あれは5℃ほど違う、と出入りの運送屋であり妙齢の
善意を善意と受け取ることができなくなったら人はそれを大人と呼ぶのだろうか、善意を当たり前のことだと思い、平気でそれを踏み潰したり、裏切ったり悪意で返したり、社会ってのはそうゆうもんだよなんて大人はしたり顔でいうけれど、あんたらがそうしてんだろ、だから善意を善意で返せるような、感謝を感謝で返せるような、そんな社会だったらいい、ありがとうをありがとうで返せるような、それが最適解であるような、そんな社会であったらいい。 地域社会の衰退によってコミュニケーションが断絶し、なんて
こども用の傘は先端が丸くなっている。振り回して当たったりするときの危険を考えてのことなのだろうか。利便性はともかく、半円球のちょうどてっぺんに小さな球がくっついているのは、デザインとしてとても愛らしい。ただそう思うようになったのは、こどものころから遠く離れて、いわゆる大人になってしまったからかもしれない。こどものころは、先端の丸っこくなった小さな黄色い傘よりも、金属製で固く先端がしゅっとまっすぐになっている大きな大人用の傘に憧れていたものだ。 幼いころのことはあまり覚えて
わたしはあまり家庭環境がいい方じゃなくて。だからうらやましいな、こういう家族って。暖かい家族ってわたしは知らなくて。家の中でさえ心をがちがちに固めていなくちゃいけなくて、そしてそんな自分が悪い子みたいで。家族にさえ心を許せないだなんて。わたしを生んでくれたこと、わたしを育ててくれたこと、わたしにお金をかけてくれたこと、わたしを気にかけてくれること。ぜんぶぜんぶわかるんだけれど、どうしても心があの人たちに流れていかなくて。いつのころからなんだろう。本心を話さなくなったのは。いつ