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新作を書いている

 小説を書くとき、私は図書館によく行った。地理や歴史などのコーナーで、主人公たちや舞台を彩るネタを探した。未来のアメリカを舞台にしたときは、『地球の歩き方』を買って、ロードムービーの舞台に必要なルートや建物を調べた。
 今は小説すばる新人賞に向けて小説を書いている。だからそれに向けて何か調べ物をしたいと思っているのだが、ネットで調べて終わってしまう。内容が内容なので本よりもネットのほうが役立つ情報が多かったりするのだ。これを上回るネタ集めというと、現地に行き取材するくらいだろう。
 取材がしたい。とてもうずうずしている。しかし私は五月に東京に二泊三日の旅をしたばかりだ。当然資金は足りない。だから諦めて資料を集めるしかないのだが……。

 今書いている作品は、ハヤカワSFコンテストに出さないことからわかるように、SFではない。だからネタ集めの方向が違う。SFではないエンタメということは、現在に近い作品世界を描くということで、より現実世界のリアリティーが求められる、と思う。そして私はあまり旅行をしたことがないのである。
 東京と福岡には数え切れないほど行ったが、それ以外の都市は全くと言っていいくらいで、せいぜい九州の他県にまんべんなく行ったくらいか。ただし、大分と沖縄には何故か行ったことがない。
 こんな私が自由に書いて大丈夫か……と思うのだが、努力次第で自由に書いてもそれなりのものになるのが小説のよさだろう。
 でも、取材はしたくて仕方がない。夏休みがほしい。

 人間のことももっと知りたい。一応、よく他人を観察するようなことはするのだが、なにせ周りの人種が偏っている。三十代以上しかいないのだ。この世界では二十代以下は誕生しなかったのか? 誰かみずみずしい若さを私に見せてくれないだろうか……。
 成熟や未熟、先走る若さや長い旅の果てにたどり着いた落ち着き、一人の人間の中でそのようなものが混じり合っていると、何となく目に留まる。そういうモザイクのようなところが人間の面白さだと思う。

 とりとめなくなってしまったが、もっと様々なことを知って作品をよりよくしたいという気持ちで書いた。作品はようやく一万字に到達し、レールにしっかりと乗ったようで、これからも書けそうである。
 作品は十万字を予定していて、まだまだ先は長いが、三、四日に一万字くらいのペースで増えていくようなので、間に合うと思う。
 主人公たちの人物像や舞台の魅力を最大限にしたいが、取材は今のところ難しい。こういうことは、プロの作家になったら堂々とできるのだろうか……。

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