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伝統芸能の祖・秦河勝公翁に奉納する御神酒「宿神」糺すの森へ(芸能に於けるシャーマニズムの解体)

三輪・大神神社の境内に、世界で唯一の杜氏の神さまを祀る活日神社があります。祀られているのは、高橋活日命という実在した最古の杜氏です。『日本書紀』には、第10代・崇神天皇は国中で疫病がはやっていたとき、夢で大物主大神から『天皇の子孫を祭主にし、酒を奉納しなさい』と言われ、酒造りの名人だった高橋に酒を造らせて奉納しました。すると疫病は去ったそうです。高橋活日命は『これは私ではなく、大物主大神が醸された神酒です』と詠んだと伝えられています

このようなお話しが秦河勝の生誕の地・三輪山にはあり、

今回のお酒も同じように

『このお酒は私達ではなく、芸能の神・秦河勝公翁が醸された神酒』

と、お酒造りをしている私達皆一同、そのように感じています。そして今年の3月26日に蔵出しされてから、益々私達はそう思えるようになっています。お酒というのは、そのようなものなのかも知れません。

大避神社・生島に奉納した際の写真

 日本酒「宿神」が誕生してから、県外に奉納させた頂いた場所は、三輪山・大神神社(鎮花祭)、星田妙見宮、下鴨神社・上賀茂神社(糺能・「翁」御神酒として)の3箇所になります、このどれもが何かを意図して出向き奉納したわけではなく、お酒に運ばれている不思議な感覚の中で、各地への奉納は決定し、進んで行きました。

下鴨神社で行われた「糺能」で、翁を演じられる林宗一郎様に、お酒をお渡ししたことで、私達は「宿神」というお酒の役割を理解する事が出来ました。

下鴨神社・糺能 一千年の節目に立つ「翁」
時・場所・内容までもが整えられていて、能楽好きには堪りませんね。


 翁という演目は、能楽の中で特に神事性が高い芸能です。ですのでシテ方の演者の方は、肉類などを取らないよう食事制限をしたり、女性に合わぬよう心掛けたりと、公演まで身を清めます。そして最後に鏡の間にて、御神酒を頂き、身を清め舞台に上がります。

林宗一郎様に宿神をお渡しした際の写真、この時も女性は面会不可でした。


 今回、その際に使用する御神酒として、林宗一郎様は快く受け取って下さり、宿神をお渡しし、能楽や翁のことなどお伺いしていると、こんなことをお話しして頂けました。

「幼いとき、夢の中で、舞台に立ち、舞を舞っている夢を見たときがあります。舞っているので、面の中から客席を見ているのですが、その時の記憶がずっと残っていて、いつその日が来るのだろうとずっと思っていました。舞台も通常の能舞台ではなかったのを覚えていたので、今日の下鴨神社の舞台を見て、その夢で見た日が今日のような気がしています」と話して下さいました。実際に終了後に頂戴したお言葉は「正夢」その日でありましたとご報告をいただきました。

 伝統芸能、特に能楽はエンターテイメントではなく、神事であり、シャーマニズムだと私は思っています。不思議な事が起きることはもはや不思議ではなく、翁という役割を全うされ、その答え合わせのようなものが「正夢」という時空間を超越した現象として、幽玄的なあわいの世界は起きるのだと思います。林宗一郎様にとって特別な日となった公演に、宿神を届けることが出来たことを嬉しく思います。そして気付きと共に確信する事ができました。

やはり『このお酒は私達ではなく、芸能の神・秦河勝公翁が醸された神酒』です。

ー 「翁」が醸した神酒を「翁」へと届ける ー

これが宿る神「宿神」が誕生した役割だと、糺すの森で教えて頂いたように思います。そしてその翁が、能と農を繋げ、人と自然を繋ぐ「精霊の王」なのだと感じることができました。

秦河勝公が眠る生島、禅の世界では亡くなられた場所がとても重要になるようです。
宿神を通じて京都で出会ったヌマバラさんの作品・翁・黒色尉

秦河勝ゆかりの地に奉納して行きたいです、奉納のサポートなど応援のご支援していただけたら嬉しいです。能と農をつなぐ「おおさけのおさけプロジェクト」クラファン残り5日!応援よろしくお願いします。

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