sakanouetakashi

書くことを遊びに

sakanouetakashi

書くことを遊びに

最近の記事

構造の奥で鯰退治③

 鯰退治で一番知られているのが、鹿島神宮の武甕槌の要石ですが、武甕槌の名前の中には甕(ミカ)という字がある。甕は以前にも話した通り、お酒を入れる器であり、雷(イカ)と甕(ミカ)が同義語であることから、鯰退治に於いて甕(お酒)は剣でもある。この甕というキーワードから、鹿島神宮からほど近い、日立にある大甕神社を調べてみると、甕星という星の物語と国譲り神話の話しが見えてくる。 大甕神社の御祭神である、この二神の関係は、 織物の中に星を織り込み、 星の神を織物の中に封印した と

    • 構造の奥で鯰退治②

      山姥は、山神の存在や山人の文化、山の怖さ豊かさをその存在を通して伝えている。お田植え祭などで、田に苗を植え付ける早乙女が、単に農作業と言うことだけでなく、「田の神様」をお迎えする農耕儀礼を行うのだが、ここでの田の神は収穫が終わると、再び山の神となり山の奥深くへと帰っていく。 この異質な変身の中に、生きている世界の違い、山と里の境界線が表されているように思う。山人と里人が境界線を守りながら、時には物々交換を通して交流もあり、その境界線に置かれた石は、塞の神・石井神・ミシャクジ

      • 赤穂緞通 ぎおん Ako Dantsu Gion いちねんかんをともにするそれぞれの時間は あの優しい波のようだ

        赤穂段通は、畳一畳分を製作するのに、一年を費やする、その時間をお客様と共に、まるで同じ時を、共に過ごして居るかのように、一日一日を織り込んで行きます。この1年間の手作業が、100年以上を共にする丈夫さと、一生物の価値を生み出します。 中国やペルシア、インドなどのデザインソースをもとに日本独自デザインを加えた赤穂緞通には様々なデザインバリエーションが存在します。多くの国の文化が掛け合わさった美しい模様たちは、長い時間と場所を旅してきた歴史文化を感じさせてくれる。バランスの取れ

        • 構造の奥で鯰退治①

          8月8日宮崎地震による、南海トラフに関連する一部割れであることから、南海トラフ巨大地震注意の臨時情報が気象庁から出される。 各地の戦争や株価の暴落など、まさに日月神事で言われる大峠を私達は迎えているように思えるカオス・混沌が目の前ある。 そんな中、今年の4月にレヴィ=ストロース論を展開する中沢新一さんの「構造の奥」が出版されていた。書かれている内容は地震地帯で発生する神話的思想をテーマに日本神話の構造の共通性について書かれていた。 まず本書ははじめに、構造主義による仏教

          マレビトの出づる所へ 「なぜ神々は去来するのか」、つまり「私たちは何処からきて何処へ行くのか」

          7月の後半に、石垣島の豊穣祭へ参加することになった流れから、「まれびと・来訪神」について知識が少なすぎるので、勉強したいと思っていたら、三重県の名張市「福たわら」という場所で、7月15日の海の日に「まれびとの出づる所へ」と題して、民族学研究者の近藤夏織子さんが「来訪神・まれびと」についてのお話し会をしてくださることになった。ぜひ参加したいと話していると、トークゲストとして対談することになった。 そんなことを切っ掛けに、改めて「まれびと・来訪神」という題材で、自分自身のこれま

          マレビトの出づる所へ 「なぜ神々は去来するのか」、つまり「私たちは何処からきて何処へ行くのか」

          宿神論 「憑依」と「転換」について

          「翁」を宿神と申し上げることは、 かの住吉大臣の御示現なさったときの 姿と符合している。太陽と月と天体の光が 地上に降下して、昼と夜が区別ができ、 物質が生まれ、またその光は人に宿ったのである。 太陽・月・星宿の三つの光は申楽に言う式三番に対応するものであるので、太陽・月・星宿の意味をこめて、「翁」を宿神とお呼び申し上げているのだ。「宿」という文字には、星が地上に降下して、人間に対してあらゆる業を行うという意味がこめられている。 星の光はあらゆる家に降り注ぐ。そのようにど

          宿神論 「憑依」と「転換」について

          女性には田の神様に使える神聖な役割があり、田植えをする女性達は「早乙女」(さおとめ)と呼ばれる。

          宿神お田植え祭で、早乙女の舞を制作してくれた 日置結弥さんのSNS投稿より、早乙女のお話し。 宿神 神力米のお田植え祭 能と農をつなぐ酒造り、芸能に捧げるお酒。 御田祭(おんださい)、お田植え祭は全国にある。田楽と呼ばれる能以前の田遊びも、お田植え祭と繋がってくる。 古くは、「田植え」は、生命を生み出す存在である女性達の仕事で、女性には田の神様に使える神聖な役割があり、田植えをする女性達は「早乙女」(さおとめ)と呼ばれる。 田植えの始まりを「さおり」または「さびらき」

          女性には田の神様に使える神聖な役割があり、田植えをする女性達は「早乙女」(さおとめ)と呼ばれる。

          四天王寺の黒猫

          毎年4月22日、聖徳太子の命日を偲んで行われる聖霊会は、四天王寺の行事の中でも最も重要で大規模な法要です。千四百年の歴史を持つ聖霊会は、四天王寺一山式衆の声明法要と天王寺楽所による舞楽が一体となった古の大法要を今に伝えています。 この聖霊会に先日お邪魔して、最後蘭陵王を拝見して、駐車場へ向かっていると、左手から一匹の黒猫が背を伸ばし、あくびをして、私たちの横を横切って行った。不思議な猫だなーと思い目で追いかけると、その先には祠があり、黒猫は祠へと入っていった。猫が出てきた左

          四天王寺の黒猫

          芸能に於けるシャーマニズムの解体 〜解体から構築へ〜

          北辰 雲海の霧立つ千種川で 元道という山伏が釣りをしていると 2人の老人が現れて こんな早朝に釣れますかと尋ねてきた 二尾ほど釣れ申したと鮎を見せると 旅の方ですかとまた質問をされ 山伏修行のため、経納山へ向かう 道中でございますと応える 2人の老人はそれは嬉しやと 顔を見合わせて舞いを始めた 1人の老人が静かに消えてゆき 1人の老人が和歌を歌い始めた 我はこの河の神 秦ノ王の生まれ変わり 三輪に生まれ 最後の地を播磨とした  秦河勝にて候 

          芸能に於けるシャーマニズムの解体 〜解体から構築へ〜

          もう一つのワールドイズマイン 

          VVという本屋で働いていた20代の頃、漫画コーナーを任されたことがある。漫画の売り上げは落ち込んでいて、芳しくない状態だった。そんなタイミングで新井英樹のワールドイズマインという漫画が復刻されることが決まった。新井英樹は冊数をあまり刷らない、増刷も望まないタイプの作家であることは知っていて、復刻を待望するファンがいる伝説の漫画でもあったから、売れることは確信していた。一冊2500円ぐらいする漫画が5巻でる、通常のコミックで八百円から千円ぐらいだから、一冊売るだけで3倍ぐらいの

          もう一つのワールドイズマイン 

          もう一つのワールドイズマイン

          2012年の12月21日 1999年のノストラダムス大予言と同じく、2012年も終末は来なかった。 ただ予言の日から、私の身体には異変が起きていた。額の真ん中にニキビのようなデキモノが出来、左手の掌には、星のようなカタチをした手相が突然現れていた。 これが2012年の噂のアセンションなのかと内心で思いながらも、手相も変わると言うし、知らぬまにシワが増えて、星のような形になっていたのだろうと思っていた。 この星のような模様を調べると、カゴメ・籠目・六芒星・ダビデ・イスラ

          もう一つのワールドイズマイン

          銀鏡と秦河勝、66面を追いかけたら、どこに辿り着く。銀鏡神楽へ、宿神の奉納。

           銀鏡神楽には北極星・北斗七星を神格化した「宿神」という神様が登場します。その宿神の面を彫った人物が秦河勝だというお話しが残されているということを映画「銀鏡」赤坂友昭監督から、昨年の宿神蔵出しイベントの際に教えて頂いた。日本酒「宿神」も、伝統芸能の神様である秦河勝への奉納酒・御神酒として生み出されたことから、今年こそは銀鏡神楽で宿神を見に行き、宿神の奉納せねばと思い、宮崎県銀鏡へと伺う事が出来ました。 ⇧宿神面の口伝の内容はこちら、赤坂監督に文章を書いて頂きました。  宮

          銀鏡と秦河勝、66面を追いかけたら、どこに辿り着く。銀鏡神楽へ、宿神の奉納。

          赤穂ギャべ展示会/海と草原のあわいに 10月6日〜10月16日まで開催。

          赤穂ギャベ展示会 海と草原のあわいに 赤穂ギャベは海の緞通といわれている赤穂緞通から生まれ、草原の絨毯であるギャベの手織り精神を引き継いでいます。赤穂御崎の海、ギャベの故郷の草原。そのはざまに飛ぶ日本の鳥たちを藍染めや草木染の日本の色で表現。 「海と草原のあわい」というタイトルが素敵で奥深く、展示会に来て頂くことで「あわい」空間が繋がって行くような会になりそうです。 会期中のイベントでは、トロンボーン冨岡毅志 (Takeshi Tomioka)のソロライブが開催されます

          赤穂ギャべ展示会/海と草原のあわいに 10月6日〜10月16日まで開催。

          芸能に於けるシャーマニズムの解体

          モノの人類学から芸能を考える ― バリ島仮面舞踊劇トペンを手がかりとして 文 ・写 真   吉田ゆか子 よしだ ゆかこ 国立民族学博物館機関研究員。専門は文化人類学。論文 2009「仮の面と仮の胴― バリ島仮面舞踊劇にみ る人とモノのアッサンブラージュ」(『文化人類学』76(1) 2011)が第 8 回日本文化人類学会奨励賞を受賞。 その他論文に「仮面が芸能を育む― バリ島トペン舞踊劇に注目して」(床呂郁哉・河合香吏編『ものの人類学』 を↓楽しく読んだ。 https://

          芸能に於けるシャーマニズムの解体

          伝統芸能の祖・秦河勝公翁に奉納する御神酒「宿神」糺すの森へ(芸能に於けるシャーマニズムの解体)

          三輪・大神神社の境内に、世界で唯一の杜氏の神さまを祀る活日神社があります。祀られているのは、高橋活日命という実在した最古の杜氏です。『日本書紀』には、第10代・崇神天皇は国中で疫病がはやっていたとき、夢で大物主大神から『天皇の子孫を祭主にし、酒を奉納しなさい』と言われ、酒造りの名人だった高橋に酒を造らせて奉納しました。すると疫病は去ったそうです。高橋活日命は『これは私ではなく、大物主大神が醸された神酒です』と詠んだと伝えられています このようなお話しが秦河勝の生誕の地・三輪

          伝統芸能の祖・秦河勝公翁に奉納する御神酒「宿神」糺すの森へ(芸能に於けるシャーマニズムの解体)

          能(能楽)と農(農業)を繋ぐ「おおさけのおさけプロジェクト・宿神」

          能と農は本来は同じ共同体の中にありました、私たちは気が付かない間に、一つであったことを忘れてしまいました。それは人と自然とが、いつの間にか離れてしまっていたことに似ています。 無農薬でお米を育てていると、水や虫の問題などに悩まされながら、除草なども大変な作業になります。田植えが大変であるから楽しく、水が少ないから雨乞いのように祈る、無事にお米が取れるように神を祀る、能楽と農業を結びつけていた背景には、人・自然・神が共にあり、祈りがあったことに他なりません。私達は今回のお酒造

          能(能楽)と農(農業)を繋ぐ「おおさけのおさけプロジェクト・宿神」