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伝統芸能の神様に奉納する日本酒「宿神・おおさけのおさけプロジェクト」の応援をお願いします!           

 この「おおさけのおさけプロジェクト」は雅楽・能・狂言・歌舞伎などの伝統芸能の祖であり、神様である秦河勝に奉納する御神酒・日本酒づくりです。

 お酒の名前は「宿神」と言います。「宿神」というのは昔の旅芸人や現在の伝統芸能者たちに於いて芸能神とされている神様の名前です。

 そして、なぜこのプロジェクトが「おおさけのおさけ」なのかと言いますと、秦河勝が芸能の神様として祀られている赤穂市坂越にある神社の名前が「大避神社・おおさけじんじゃ」だからです、ただの駄洒落ではなく「大酒神社」とも書かれている神社もあり、芸能だけでなく、お酒とも関係の深い神様であることから「おおさけのおさけプロジェクト」と名付け取り組んで来ました。

 この「おおさけのおさけプロジェクト」は兵庫県赤穂市と兵庫県佐用郡を繋いでいる千種川という川沿いの流域一圓で取り組んでいくプロジェクトになります。なぜ千種川なのかと言いますと、秦河勝が千種川を開拓したと言われていて、千種川沿いに芸能の祖・秦河勝が御祭祀になっている大避神社が35〜40近い神社が建てられているからです。

千種川源流

能・狂言・歌舞伎・人形浄瑠璃など様々な伝統芸能の中に「翁」という存在がいますが、その翁が宿神や秦河勝と同一視されている存在になります。

 秦河勝という人物は飛鳥時代に聖徳太子の側近として活躍し、京都の平安京・太秦・弥勒菩薩像が置かれている広隆寺などの建設に携わり、その当時に鉱山技術、鍛冶技術、養蚕、機織、酒造などの最先端テクノロジーを日本に持ち込んだ渡来人の代表的な人物です。能や狂言などで使用されている、衣装や楽器を含めたハイ・アートな技術・世界感は、シルクロードを渡って来た文化・芸能が日本で極まったものだと言われています。

 聖徳太子が製作した66の仮面を秦河勝に舞うように命じ、66曲の舞を秦河勝が舞ったことから猿楽が始まったとされています。伝統芸能で見られる「翁舞」や「三番叟」はその時に始まったものだと言われていて、この「翁舞」や「三番叟」は五穀豊穣・天下泰平を祈り祝う演目として知られています。田楽能とも呼ばれ、昔の人は田畑で芸能を楽しみながら五穀豊穣を祝っていました、三番叟などを拝見していると、その立ち振る舞いから、農業と芸能が共にあったことがよく分かります。

 このプロジェクトは伝統芸能の神様である秦河勝が眠る地で、能楽と農業をもう一度繋ぎ直し、原点回帰することで新たな文化を生み出せないかと思いスタートをさせていきました。

酒米を育てている桜山になります。

 酒米を育てている場所は、千種川の源流である兵庫県佐用郡で、棚田がとても美しい桜山という場所になります。私達は自然に寄り添った方法でお米を育てて行きたいという思いから、農薬化学肥料不使用で育てる為に、山の頂上で田を借りて育てる事にしました。水は天水(てんすい)と言って、雨水で育てています、天(雨)の水で天水です。この水が千種川へと流れ、秦河勝が眠る赤穂坂越へと流れていきます。

大避神社前にある生島、秦河勝のお墓がこちらにあります。

 お米の品種は、西播磨で発見された「神力」という酒米です。この「神力」という酒米は、兵庫県揖保郡中島村(現在のたつの市)の丸尾重次郎が、1877年(明治10年)に有芒の在来種「程良」の中に無芒の3本の穂があるのを見つけ、「器量良」(きりょうよし)と名付けて育成しました。育ててみると、葉や籾の色が優美で、収量も他より25%も多収であったため、丸尾は、「これこそ神の力」と、品種名を「神力」に名付けました。西播磨の貴重な酒米品種になります。

今年育った神力です。

 2022年6月6日、酒米神力のお田植え祭では、姫路藩お抱えの能楽師・ワキ方の江崎欽次朗さん、丹波でアマビエなどの新作能に取り組まれている同じく能楽師・小鼓方の上田敦史さんに来て頂き、翁舞や三番叟で謳われる「神歌」の謡を奉納して頂きました。

お田植え祭の時の案内チラシ

「神歌」の謡のはじまりにある「とうとうたらり、とうたらり」の謎の呪文の意味は幾つかあり、はっきりとしていないのですが、その中の一つの説を小鼓を奉納して頂いた上田敦史様から「水が流れる様子を詠んだ、表したもの」という説もあり、上田様はその説が一番好きだと教えて頂きました。雨が降らず今回のお米づくりで田に如何に水が必要かと思い知らされた私達にとっては、五穀豊穣を祈願する謡だとすればとてもしっくりくるお話しでした。秦河勝が開拓した千種川の水と「とうとうたらり」の翁舞や三番叟の神歌の謡が綺麗に繋がっていることを感じられ、農と能が繋がっていくことを実感したお田植え祭となりました。

ここで、このお酒作りに欠かせないメンバーを紹介させて下さい。

 ・酒米「神力」を育てる鶴田農園・鶴田拓哉さんです。私と同じように秦河勝という人物に魅せられ。拓哉さんはプロジェクトに関わる前から農業には従事していたのですが、このプロジェクトを切っ掛けに独立を決意し、酒米づくりに取り組んでくれています。

鶴田拓哉より 「おおおさけのおさけプロジェクト」を応援してくれる皆様へ

酒米づくりを担当させていただいている鶴田拓哉です。私は南九州の田舎育ちで実家は昔から米作りをしており、子供の頃から農作業は生活の一部でした。今回、いろんなご縁があり佐用町桜山の棚田に素敵な田んぼが見つかり、「おおさけのおさけプロジェクト」は進んでいきました。

山頂にある私の田んぼの水源は天水です。僅かな水しか流れないので、水稲栽培にとっては過酷な環境です。実際、田植えをする2日前まで田んぼに水が張られておらず、田植えをするには程遠い状況でした。「どうか雨を降らせてください」と切実に雨を祈願したことを今でも覚えています。祈りが通じたかのように大雨に恵まれ、今回は予定通り田植えをすることが出来ました。

 宍粟市の千種川源流付近では昔から雨乞いの神様として信仰を深め多くの農家が詣っていた場所があります。そして、秦河勝さんが最初に辿り着いた相生市那波にある大避神社もまた雨乞い祭りや豊年祭りが明治末頃まで行われていました。雨乞いの文化は最近では聞く事はあまりないのですが、田植え2日前のあの時の私の祈りは雨乞いそのものだったなと振り返るとそう思います。

天の恵みと、多くの人に助けられ、酒米神力は成長し、無事に収穫することが出来ました、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 自然農法で育てている私の田んぼは、10年以上使用されていない工作放棄地でしたが、田植えを終えて1週間、そこには水中生物や水鳥が集まり美しい生態系が営まれ、自然の豊かさを感じさせてくれます。その美しい環境での稲作を多くの人に感じてもらいたいと思い、今年からは大学生の方々にも協力して頂きながら農と能の繋ぎ直しの一環で薪能や虫送りという行事を復活します。虫送りは農薬の無かった時代、夏の夜にたいまつを持って、鉦鼓や太鼓を鳴らしながら農作物に着いた虫たちを村の境まで追い払うという伝統行事です。薪能や虫送りといった古来からある伝統行事に触れて新たな文化を作り農作物を守り、人々の記憶に残っていけば大変嬉しく思います。

私達が造った宿神が千種川を舞台に山と海を繋ぎ、農と能を繋ぎ、星空と海底を繋ぎ、多く人と人を繋ぎ、語られるお酒になれば嬉しいなと思っています。どうか皆様の応援よろしくお願い致します。

 ・日本酒へと育ててくれる赤穂坂越の奥藤商事さん。

奥藤商事さんは400年前に創設、酒蔵を創業する切っ掛けとなった言い伝えが正に能楽のような話しなので紹介させて下さい。

 ある日、どこからともなくやってきた2人の白髪のご老人に、主人が「どこから来られましたか?」と尋ねると「隠れ村より」と答えられ、主人がお茶を出しますと席を外すと、その老人は何も言わずに、米俵と柄杓を置いて出て行ったようで、主人が戻ってきた時には2人の老人は居なかったようです。その置かれた米俵と柄杓を見た主人が、『これは酒造りをしろということに違いない』と思い、酒蔵を始めることになったようです。柄杓は水を汲みもので、主人は千種川の水だと思い、千種川の伏流水でお酒づくりが始まったそうです、今回のお酒も千種川の伏流水を使用しています。

生酛仕込みとは「酒母」を手作業で造る酒造りのことです。「酒母」というのは醪を発酵させるための酵母を培養したものでやり方は色々ありそれぞれ酵母の持つ性格が違ってきます。生酛仕込みでは「山卸し」という作業があります。「山卸し」とは精米が水車などでされていた時代、半切り桶の中に蒸米と水を入れ櫂ですりつぶす作業のことを言いました。現在では精米機で精米を上げる事ができるようになり麹の酵素が十分に白米に吸収されるので蒸米をつぶす必要がなくなり「櫂でつぶすな麹で溶かせ」といわれるようになり山卸しの操作を廃止するようになりました。生酛で造る「酒母」は今主流の速醸系酒母に比べると育成日数が長く(生酛26日~30日、速醸7日~14日)低温での
温度の管理が大変難しい製造方法です。「酒母」そのものはアミノ酸が多く濃い味で製成した酒も濃淳な味になります。生酛の製造は仕込み水、麹などからくる硝酸還元菌・乳酸菌を低温で増殖させその働きによって雑菌や野生酵母を淘汰し「酒母」に必要な乳酸を生成させます。製造に手間と時間がかかるため仕込みは減ってきました。今回は「神力」という酒米を手間暇をかけて育ててくれましたのでそれに答えたくて仕込みにも手間暇をかけました。どうぞお試しください。

・お酒のロゴデザインは南京に在住で南京芸術大学のデザイン課で教授をされている"Zhang Ou"张欧(ジャン・オウ)さんにお願いしました。

南京情報技術専門学校の大学教員。
南京芸術大学でデザインの博士号を取得。
SGDA ・NGA のメンバー。

 秦河勝は渡来人の代表的人物であり、不思議なお話があります、それは秦河勝は秦の始皇帝の生まれ変わりと言われているところです。日本の文化の礎を気付いている人物が秦の始皇帝の生まれ変わりというのはとても面白い話です。南京はまさに秦の始皇帝が存在していた場所で、秦淮河という川が流れており、今回のデザインを切っ掛けにジャンさんと繋がれたことを嬉しく思います。千種川の柄杓・北斗七星の形と翁が舞っている姿を表現しながら「宿」という字をデザインして頂きました。

 全体のデザインプロデユーサーとして「食とアニミズム」の玉利康延さんに協力して頂き、このお酒の物語を伝える為のデザインを仕上げて行きたいと思っています。

 そして私の自己紹介、、そして取り組みへの想い

 今回のプロジェクトを企画させて頂いた、赤穂市で赤穂サンクチュアリというカフェ&コワーキングスペースの運営をしている坂本尚志と言います、ここまで読んで下さりありがとうございます。千種川の源流に位置する佐用町育ちで、夏休みには千種川で毎日泳いで過ごしていました。秦河勝と千種川の関係はこの歳(45)になるまで全く知りませんでした、地域の大半の方が今も知らないのではないでしょうか。千種川は名水百選にも選ばれ、とても美しい川なのですが、2009年の千種川の洪水から佐用といえば洪水のところですねと言われるようになり、小さい時から千種川を誇りに感じていたので、洪水の川として知れれるのはとても残念に思っていました。そして里帰りをする度に洪水から人を守るためではあるのですが護岸工事が行われ、子供の頃に泳いでいた場所が泳げなくなっていたり、とても残念に思っていました。洪水というイメージではなく千種川の素晴らしさを伝えることが出来ないかと考えていた時に秦河勝という人物を知り、この人物の偉大さに夢中になって行きました。秦河勝と出会い、伝統芸能も大好きになり、能や狂言を見に行く様になり「翁」という存在に出会いました。先に述べたように「翁舞」や「三番叟」の五穀豊穣の舞は、自然と文化との結びつきを感じさせてくれます。千種川と秦河勝・農業と芸能を繋ぎ直す過程において、もう一度故郷の文化や自然を見直すことができればと思い取り組んでいます。

最後に「宿神」と名付けたのは、世阿弥と共に能楽を大成させた金春禅竹の明宿集を参考にさせて頂きました、その一文を載せさせて頂きます。

宿神 

「翁」を宿神と申し上げることは、
かの住吉大臣の御示現なさったときの
姿と符合している。太陽と月と天体の光が
地上に降下して、昼と夜が区別ができ、
物質が生まれ、またその光は人に宿ったのである。

太陽・月・星宿の三つの光は申楽に言う式三番に対応するものであるから、太陽・月・星宿の意味をこめて、「翁」を宿神とお呼び申し上げているのだ。

「宿」という文字には、星が地上に降下して、
人間に対してあらゆる業を行うという意味がこめられている。

星の光はあらゆる家に降り注ぐ。そのようにどのような家にも招かれ歓待されると言うのが星宿のお恵みではあるが、とりわけ宿神とお呼び申し上げている「翁」の威徳は、どんなに畏敬をこめて仰ぎ見てもあまりあるものがある。

金春禅竹 「明宿集」現代語訳より

 宿神いうのは、芸能者たちが芸能の神として崇めている存在であることのほかに、北極星・北斗七星を神格化した星の信仰とも結びついて行きます。千種川は、川を象ると北斗七星の形をしていると言われていることや、奥藤酒造さんが酒蔵をされている赤穂市坂越の地名である「サコシ」とは「シャクジ」「ミシャクジ」「シュクジン」と「宿神」が鈍った地名とも言われていて、千種川を繋ぐ山川里海、そして文化や歴史までもが「宿神」というキーワードで繋がっていくよう思い、このブランド名を付けさせて頂きました。

 今後もお田植えから蔵出しまで、様々な芸能者の方々に参加して頂き、芸能の奉納を通じて五穀豊穣と天下泰平を祈願して頂きながら、お酒づくりに取り組んでいきたいと思います。

2023年開催される「おおさけのおさけプロジェクト」のアクション
・初蔵出しイベント                     3月26日
・お田植え祭での芸能奉納                  6月6日  
・大学生と取り組む虫送りプロジェクト                            8月予定
・宿神海底貯蔵 海底から星空までの大循環を考える         9月12日
・収穫祭での芸能奉納                   11月予定
・千種川沿い大避神社へのお酒の奉納           随時
・宿神で繋がる各地域への奉納              随時

 2023年3月26日の「宿神」の初蔵出しは奥藤酒造の酒蔵にて行います、能楽師の山井綱雄さんによる「翁」神歌と「猩々」の仕舞いを奉納して頂けることになっています。詳細の方は、これまでの取り組みや想いも含めfacebookで#オオサケノオサケ #宿神  で検索していただけると見ることが出来ます、是非覗いてみて下さい。

 上記に書かせて頂いたように様々なアクションを起こして行きます。皆様に応援を頂きながら、一緒に育てて行くお酒になれば嬉しいなと思い、今回のクラウドファンディングを立ち上げさせて頂きます、どうぞ皆様に参加して頂き、ご協力ご支援していただけたら嬉しく思います、よろしくお願い致します。


応援メッセージの頂いている皆様

能楽小鼓方 上田敦史

有難(ありがた)や 諸人(しょにん)快楽(けらく)の申楽(さるがく)の道 滔々(とうとう)絶やさぬ志 護らん為(ため)のこの宮に ちはやふる
 新作能「八子(やつこ)大夫(だゆう)」より

天照大神が岩戸にお隠れになり、あらゆる悪が蔓延る中、世に光を取り戻すため、天鈿女命が舞ったとされる最初の芸能、始まりの神楽。その「神」の字から編を取り除けた「申」を用い、能楽の古称「猿楽」は古来「申楽」とも書かれます。文字通り、神楽から分かたれた能楽は、神前に奉納する祈りや祝いであり、神と人が共に楽しみを申しつつ世を寿ぐ、芸能本来の形を今に伝えています。
有史以来、一度も絶える事無く伝承されてきた能楽は、2001年ユネスコ世界無形文化遺産に指定されました。私共能楽師はその永い歴史の中で練り上げられた土台によって生かされています。そして近年、日本を代表する優れた伝統芸能として世界へ発信されてきました。しかしながら今、その本来の役割を果たすべき時が来たように思います。
「農」と「能」には神と人との共同作業、そして共に楽しむという共通点があり、芸能で五穀豊穣を祈ることは必然とも言えます。その地域の歴史文化を護りながら、新たな能の種を蒔き、それぞれの土地の土・水・空気・人によってしっかりと根を張らせ、地域の伝統文化として次代へ継承していく。「おおさけのおさけプロジェクト」にはそのような未来を予感させてくれる骨太の精神性を感じます。私のライフワーク「能の種まき」とも重なり、心強い仲間を得た気持ちです。
今後文明がいかに進んだとしても、人の営みの根本は変わらないでしょう。伝統を育む事の意義においては、都会も田舎もありませんが、それぞれの土地にあった取り組み方はあります。「農」も「能」も、その地域の歴史や風土と共に持続可能な地域文化でありたいと願っております。

アーティスト 元宝塚歌劇団  愛音羽麗

なんでもデジタル化されコンピューターが世界を動かす今の時代。
しかし、人間にしかない感情や感覚、それをなくしてはできないのが
芸事、そして酒造りだと思います。気候風土と熱き想いでできたお酒
、祈りと想いがたくさんの人々に届きますように。

写真家・フリーダイバー 菅原真樹

「宿神」はただのお酒ではありません。何億年というサイクルの中で巡った水、その水から命を宿した米や蔵元の叡智が詰まった神聖な御神酒です。この「宿神」は、人々から忘れ去られ自然界に埋もれている神々に捧げ、再び我々が自然界の循環の輪の中の「点」に還るための神酒であり、販売を優先させるものではありません。ご縁がある方々にお分けして、その方々が神の語り部となる壮大なミッションが込められたものです。この混沌とした現代社会にもう一度「畏れ多い」という畏敬の念を、人々に次世代に向けて蘇らせる力を秘める御神酒「宿神」をぜひご支援いただきたい。


クラウドファンディング3月・4月UPを目指し頑張ります、皆様の応援よろしくお願い致します。

おおさけのおさけprojectスタッフ一同より

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