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「アマゾンの料理人」太田哲雄 生きることは食べること
こんにちは。
読書大好き美容師のなおこです。
本日はこちら!
「アマゾンの料理人」太田哲雄
ほらもう、タイトルが良いでしよ?
「アマゾンの料理人」ですよ?
気になるよね。手に取りたくなりますよね。
そして、ちょっとおかしいよね。
「アマゾン」と「料理人」、パッと結びつかないよね。
なんか違和感あるじゃないですか。
でもね、最近思うのは、この「ちょっと違和感がある」感じが、実はすごく重要なんだと思うんですよ。
やっぱり、違和感がある方が、タイトルを覚えられるんですよね。
今は検索の時代なので、キーワードを覚えてないと、検索できない。
「アマゾン」と「料理人」。
この二つのワードの違和感により、脳内にタイトルが何となくでも残る。
考えられてるなーと思います。
この時点でもう好感が持てる!
前半部分→ヨーロッパ修行時代
本の前半は、著者の太田シェフの、ヨーロッパでの修行時代が書かれてます。
舞台は主にイタリアとスペイン。
とは言っても、私は太田シェフの事を全く知らなかったし、今でもほとんど知りません。
でも、そんな私でもやっぱりインパクトがあるのが、彼がスペインの「エル・ブジ」で働いていたというくだりです。
エル・ブジ、ご存知ですか?
当時、科学的な調理法で一世を風靡した、世界最高峰のレストランです。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/エル・ブジ
(太田シェフの名前も載ってる!)
もちろん私は行った事ないですよ。
行ってみたかったけど。(もう閉店してる)
そのエル・ブジが、どんなお店だったかを、内部を知る人間として書いてあるんですね。
非常に興味深かったです。
食材をバンバン廃棄してたらしい。
いくら美味しくても、そういうのちょっとな。
それから、太田シェフの人間的な部分も書かれています。
最初はフランスに修行に行こうと思ってたのに、イタリア人に、「絶対イタリアがいいよ」って言われてイタリアにしちゃったとか。
なにそれかわいいかよ!笑
(そりゃイタリア人はそう言うよね)
それから、ちょいちょいシェフ自身の写真が載ってるんですが、全部同じ顔して写ってるんですね。笑
そして、徐々に、丸くなっていく笑
こうやって、前半部分は、太田シェフという個人の半生を描いた、自叙伝的な雰囲気で進みます。
後半部分→ペルー時代とアマゾン体験記
さて後半。
実はこの本は、ここからが本番です。
タイトルにもあるアマゾンが、やっと出て来る!
この時点で3分の2くらい読み進めてます。
ここまでは長い長い前置きみたいなもんだったんだなと気付く。
そして、今までも面白かったけど、このアマゾン部分の面白さは、秀逸です。
もうね、この太田シェフがね、はっきり言って変人なんですね。
いやこれ褒めてるんですよ。
全力で褒めてますから!
太田シェフ、ヨーロッパの名店を渡り歩くうちに、各土地の「土着の料理」に目覚めてしまうんですね。
そして、よりプリミティブな、かっこよく言えばおそらく「生命の原点」のようなものを求めて、アマゾンにどうしても行きたくなってしまうんですよ。
そして行っちゃう。
それも、観光を目的としたアマゾンツアーじゃない。
アマゾンに住む、現代の文明社会とは違う世界で生きている、原住民たち。
そんな彼らの家に泊まったりするんですね。
雨季で床まで水が上がってきてるから、ハンモック吊るして寝てて、うっかり寝返りうって水中にドボンとか。
スコールが来たら大きな葉っぱの下で雨宿り。
「スリ」っていうゾウムシの幼虫(5センチくらいある)を生で食べたりとか!
(写真があったけどでかいカブトムシの幼虫みたいだった!私は絶対にムリ!)
金を掘るために使用している水銀を垂れ流している川で採れた魚を食べたりとか!
(これは本当にやばいやつ)
ガチで現地の人の暮らしを体験しているんですね。
そして彼は気付く。
アマゾンでは必要以上に獲物を獲らない。
自然から「分けていただく」のだと。
本当の豊かさとは何なのかということ。
アマゾンでは、食べることが生きること。
食事と生活は直結している。
確かに、「生命の原点」が、そこにはある。
食や料理を通して、アマゾンに住む人々の生き方を、読んでいる私たちも学ぶことができる。
素敵な本だったなぁ。
押し付けがましさもない。
面白い体験記でもあるし、料理の考え方の本でもある。
自叙伝としても相当面白い。
最初から最後まで楽しく読める、こういう本が私は大好きです。
エッセイとか好きな人は間違いないですね。
「読書するぞー」って意気込まないで読める本です。
読んでても疲れないので、ふわふわっと読むのに超おすすめ。
でもしっかり面白いですよ。
太田シェフの料理、食べてみたいなぁ。
星4。