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あなたの名前で生きてみたい
離婚をして名字が変わった。結婚してたのはほんの数年だったのに、生まれ持った名前よりよっぽどしっくりきてた気がする。
別れた旦那は対して事務手続きをせずにいられるのはずるいなあと、結婚するときも思った。男女どちらかの名字で生きればいいだけなのにどうしてほとんど女性が名前を変えるのだろう。
「牟田さん、この書類間違ってましたよ」
ふいに名前を呼ばれて、そうね、私は旧姓に戻ったんだとしょんぼり
その焦げ目が美味しい
僕は自分の母親がとても料理が上手かったから、女の人は誰でも料理が出来るんだと思ってた。だから今の彼女と一緒に暮らして初めてそうじゃない人もいるんだと知る。
「しまった、焼きすぎちゃった」
それが彼女の口癖だった。彼女は単調な料理しかできない。目玉焼きが真っ黒焦げで出てくる。ハンバーグは固くて箸が通らない。アジの干物はまるで消し炭のようだった。
「どうしたらそんなふうになるの」
僕は本
ポケットにカレーパン
人生ってポケットに似ている。
入れすぎると膨らんで不恰好になるし、ないと不便。
何をポケットに入れるのかは人それぞれだけど。大抵仕事だったり、人生の伴侶だったりする。
私の場合は、焼きたてのパン。それもカレーパン。
「あたしはね、ポケットは無限にモノが詰め込めると思ってたの。だから何でも目一杯詰め込んだ。仕事の予定、遊びの予定、お酒に海外旅行。男遊びも沢山」
「へえ」
私は友
アマビエ・クリスマス
「クリスマスって何のためにあるのかな」
「どうしたの急に」
「なんか気になって」
私はキッチンでタンドリーチキンを焼いていた。ヨーグルトと香辛料に漬け込んでなかなか本格派である。新型コロナウイルスの影響で自粛生活も三ヶ月近くになろうとしていた。
「本当にね、牧くんと一緒じゃなきゃこの生活乗り越えられなかったと思う。誰にも会えないっていうのがこんなにもつらいと思わなかった」
牧くんは五つ上の大学