孤独と記憶と透明の器
老人が犬を連れて朝もやに消えてった
カラスがいっせいに飛び立って空を埋めた
みんなどこへ行くの
誰もいないこの街でただきこえるのは
自分の吐く息と雨の音だけ
雨つぶ数えて暇つぶす
雨つぶ数えて暇つぶす
小さい雨粒くっついて
大きい雨粒とりこんで
落ちてゆく
落ちてゆく
水溜りの中消えてった
青く棲んだ水の中へ
光と共に潜ってくきれいな色の魚
摩天楼の森に住む
誰もいないこの街でただきこえるのは
自分の吐く息と波の音だけ
僕は魚じゃなかった
僕は鳥じゃななった
息継ぎが必要だった
歩く地面が必要だった
ここは東京遺跡
ここは東京遺跡
空はどこまでも青く
透き通っている