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ユニクロは浴衣市場から、なぜ撤退したのか?
ユニクロは、2006年から2019年までの13年間、浴衣を販売していました。
厳密に言うともっと早く縮小傾向にありました。
当初は伝統的な柄の浴衣を提供していましたが、後に人気デザイナーとのコラボレーションや新しい素材の浴衣などを展開しました。しかし、2020年以降は浴衣事業から完全撤退しています。
ユニクロが浴衣の販売をやめた理由は、公式には発表されていませんが、撤退理由は以下の要因が考えられます。
以下は、私の推察です。
コロナ渦による浴衣市場の縮小が原因なのか?
コロナの原因はともかく、浴衣を着る機会が減り、市場が縮小したことで、ユニクロが浴衣販売を継続するメリットが薄れた可能性がありますが、これが直接の原因ではありません。販売の中止はコロナの前に決まっていたのですから。コロナは撤退の言い訳にはなったと思います。
生産上の課題が要因か?
ユニクロの既存の工場設備、技術、人材、素材等をそのまま活用できず、新たに提携工場を見つけたり、それなりに投資が必要でした。それだけの投資をしたことが逆に、13年も続いた理由なのです。自社生産は当然コストは下げられますが、やはり薄利多売を貫こうとしたことで、採算性の問題がのしかかったと思われます。
売り方に問題点あったのか?
本来浴衣は試着し、帯なども合わせてみて購入するのが普通ですが、ユニクロでは浴衣の試着販売には消極的でした。もし試着販売を通常販売マニュアル化してしまうと、膨大な時間とスタッフの労力を無駄にすることになるからです。だからターゲットユーザーが限定されてしまいました。
顧客ニーズの変化に対応できなかったのが原因なのか?
これが大きかったことは確かです。
ファッションの多様化やライフスタイルの変化により、浴衣に対するニーズが変化したにも関わらず、ユニクロは浴衣に関しては新規参入であったがゆえに既成概念に逆に縛られた節は見えました。
でも、上記はあくまでも撤退の副要因であり、ユニクロの浴衣が売れなかった最も大きな原因が他にあったのです。
これは、和装業界関係者全体にも共通している盲点です。
プロだから見えない大きなスコトーマがあるのです。
ユニクロの店舗数、集客力、広告力を持ってしても失敗したことは、私にいろんな意味で大きなショックでした。
だから、ユニクロが浴衣で失敗した事例から私同様に和装業界は大きなことを学べたはずです。
これを人ごとのように傍観している和装関係者の皆様は、明日は我が身なのです。
ユニクロが撤退せざるを得なくなった最大要因が、和服市場を戦後の最盛期から10分の1まで縮小させてしまった根本原因でもあるのです。
このお話の続きは私の講座、または講演で詳しくお話しさせていただきます。
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