甘味おかめの杏みつ豆
虫養いで有楽町の駅前の交通会館の地下一階。甘味のおかめにやってくる。
マダムの花園のような場所。お客様もお店の人もほぼ女性。たまに甘党のおじさんの姿も見るけどみんなどこか緊張をした面持ちで、肩身狭げにそそくさ食べてそそくさ出てく。
今日はどうかと中にはいると、なんと一人占めの状態でした。最近、ちょっと静かなんですと、こういうところにも少なからぬ影響が出ているようです。なやましい。
入り口脇にテイクアウトの売り場があっておはぎを5個、10個とまとめ買いする人が次々やってくる。これも今のムードかしらってぼんやり思う。
いつもならば豆かんを迷わずたのむところ、趣向を変えて「杏みつまめ」をたのむことにした。
花弁のように縁が波うつ形の器の中にみつ豆。その天辺に若草色と桃色の求肥がそれぞれ一枚づつ。周りを干した杏が取り囲んでいる。
なんとも鮮やか。目にうつくしくまもなくはじまる桜の季節を思わせる。
杏がふっくら、つやつやしていて口に含むと切なくなるような甘酸っぱい香りが鼻から抜けていく。甘くて、しかもキリッと酸っぱい。杏独特のふくよかなほどける食感、そして香りがなんとも優美。
下には寒天と茹でた小豆がかくれてて、なにもかけずに食べると寒天の磯の香りに軽い塩味。小豆が崩れてほのかな甘味をそえてくる。黒蜜をかけるとトロンとスベスベ寒天の表面覆ってやさしい甘みにうっとりします。可憐なおいしさ…、オキニイリ。