【那須・日光の旅】わいわいドライブと、ピラミッド温泉 その1
仲よしの、文芸社文庫NEOの作家さんたちで、那須へ!
月森乙さん、位ノ花薫さん(かお)、そしてわたしの3人。
どこへ行こうかと、事前にわいわい話し合っていたけれど、
「那須にはピラミッド温泉なんてものがあってね……」
かおが提案してくれた場所に、全員が喰いついた。
正式には〔ピラミッド元氣温泉〕というそれは、まさしくピラミッドの形をしている温泉で、入り口にはスフィンクスが鎮座している。
みんな……こういう面白そうなものに飛びつくんだから……。
那須は見るところも食べるところもいっぱいあるから、ピラミッド温泉以外はほぼノープランで出発。
道中は、途中のコンビニで買い出ししたお菓子や飲み物で、わいわい賑やかにドライブ。
ウニ味のおかき、かりかり梅、チョコレート、ポテトチップス、などなど。
後部座席のかおが、お菓子奉行を担当してくれて、
「おかきちょうだい」
「チョコ欲しい」
という要望に、つぎつぎと応えていってくれる。
◯
那須で観光客を吸い込む〔お菓子の城〕では、ガラス越しに生産されてゆく、名物の「御用邸の月」がラインを流れてゆく様子を見物しつつ、いろんなお菓子をおみやげに買ってゆく。
お昼ご飯をどうするかで話し合い、
「和食系がよき」
との月森さんの意見を重視し、ささっと検索。
……と思って車を走らせていると、
「あ、蕎麦!」
「蕎麦を食べたい!」
途中で見かけた蕎麦屋さんに予定変更。
こういう、無軌道で無計画な柔軟性が楽しい。
風情のある店内で、3人がそれぞれに選んだ、まいたけ天蕎麦。
全員の一致を見た。
こういう山の中では、やはり山菜系を食べたいものだしね。
東京の洗練された更科とは違う、山の中のお店ならではの、太打ち蕎麦。
まいたけも大きなものが2つ、ごろりとてんこ盛りになって、存在感を放っている。
まったくケチケチしていない。
◯
ピラミッド温泉は、実に空いていた。
冬場ともなると、那須は雪が散らつくし、オフシーズンということなのだろうと思う。
細い廊下を渡った先に、宝石風呂というものがあって、大浴場の前に様子を見に行ったものの、
「宝石だ……きらきらしている……でもきっと、宝石のようにキラキラした心の持ち主じゃないと、お湯が見えない仕様になっているに違いない」
こぢんまりしたそのお風呂、わたしの目には、空っぽのように映った。
キラキラしていない、どんよりした心の持ち主は入れないのだろう。
「あれぇ、お客さんたち、こっちのお風呂はやってないのよー、ごめんねえ」
背後から忍び寄ってきた従業員のおばちゃんに、謝られてしまった。
廊下やロビーには、なんというか……オーナーが気持ちの赴くままに集めた面白いオブジェが並んでいる。
わたしは、なんとな〜く、マインクラフト的な雰囲気を感じた。
家を建てたり家具を配置したりするタイプのゲームだ。
ああいうのは、面白い家具を節操なく置きたくなってしまうので、作った家の中がカオスになりがちだ。
全体的にはエジプトなのに、たまーに、中国的な天女や仏や神様の像が置いてあったりする。
カオスで、好き。
こういう内装センスに、うちら3人はきゃっきゃと喜ぶのだ。
◯
ついに大浴場へ。
わたし達の他に、お客さんは存在しない。
隣の男湯から、かすかに話し声が聴こえてくるのみ。
仕切りによって温度の違いを設けた大浴槽、ミストサウナ、そして露天風呂。
天女だか菩薩だかの像が鎮座するそのお風呂へ、いざ突撃!
次回へつづく…… →【那須・日光の旅】わいわいドライブと、ピラミッド温泉 その2