35ミリ

きっと誰でもいいのだろう
嘔吐しきれなかった憂鬱を
一緒に噛みしめてくれるのなら
きっと誰でもいいのだろう
優しく溢れる陰鬱を
一緒に舐めあってくれるのなら

苦し紛れで歩みを続けて
鋭く虚栄をまき散らす
さすような冷雨に似た黒髪
永久凍土のなれの果て
君と僕は同じだね
なんて言ったら怒るかな

どこ吹く風で歩みを続けて
漂う虚構に身を任せる
酔ったまなこで見つめる街は
いつか観た35ミリの淡い夢
僕は君とは違うから
なんて言ったら怒るよね

灯りを信じて歩みを続けて
無償の善意を与え続ける
溶け出た優しさはバターのように
ぬめりまとわりついてくる
僕には愛想が尽きたかい
なんて言ったら悲しむかな

酔った体で虚構に落ちた
虚構に落ちて酔ったのか
ねじれ絡まり歪んで眩んで
結局正解は何だったのかな
いつか観た35ミリの夢の中に
誰もがとり残されている

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