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家より大きな倉庫を作った裏の理由

本当に多くの方に日々助けていただきながら、島に移住して7年目に入りました。

元銀行員、現漁師。実は脱サラしたときに密かに「これを実現したい」と思っていたことができうる環境になってきたのです。

それは、それなりの規模の倉庫を建てていることによるもの。人生を賭けた実験です。漁業農業をする上で大きな倉庫が絶対に必要不可欠なものであることはもちろんのこと(今は、倉庫を4つ借りていて行き来するだけでもひと苦労)。それ以外にも実は裏の意図があります。

もう一回餅まきするんかね?と最近よく言われます(新築したら餅まきするのが山口県の昔ながらの風習)

実現したいこととは、「倉庫の中の機械や作物を担保に、お金を貸してもらう」ということ。

これが当たり前になれば、多くの事業主がもっと、もっと借入を良い形で活用できるようになります(金融機関も貸し出しがしやすくなる)。専門用語では、「ABL(Asset Based Lending)動産担保融資」。集合動産譲渡担保、など。

昔の金貸しはやっていたことなのではないでしょうか。いわゆる金貸としての目利き、というヤツです。

担保といえば「不動産」。担保の前に「保証人」。いつのまにかそれがあたりまえになってしまったけれど、不動産がなかったり、保証人がいなかったり、赤字の事業こそ融資が必要なのではないでしょうか。金融の力が必要なのではないでしょうか。市場があって換金できる資産や在庫は担保にできるし、そうなればもっと借入がしやすくなります。連帯保証、なんていう恐ろしい仕組みなんてのも使わずに済みますし。

金融が活性化した場所は、どんどん経済が、産業が、よい循環になっていく。そういう未来を、作りたい。

生け簀のブリや、牛などだって担保にしようと思えばできている事例もあるんだもの、倉庫の中のひじきだって、ニンニクだって評価できるはずだし、実際に担保権を実行するときも市場があるものは換金しやすい。

金融機関がモニタリング(定期的に担保をチェック)する手間がかかってしまうのと、最近例が少ないので「お金を借りる側」も協力する必要があります。

新入行員だったころ集合動産のチェックを任せていただいて「大変だな」と思いつつ「でもこの仕組みは世の中にとって必要なことだな」と強く感じたし、実際に事業をやっていくなかでその思いは強くなるばかり。

ちなみに、組合(農協、漁港)であればより在庫を担保として適切に評価、処分ができるはずで、そういう意味でも組合金融はすごく意味のあるものだと思うのです

そして今、全国各地でその組合金融の危機でもあると思っています。団塊の世代の預金が相続によって都市銀行に移転してしまうから。タイムリミットは近い。本来であれば地域内の人に貸し出される元手になるはずのものが流出してしまうのです。

だから、榮は住宅ローンは農協で借りました(ほんとは漁協からも借金したい)。組合の金融機能を島外に出してはならない。せめて個人でもできることを、と。

貸す側だけでなく、お金を貸してもらう立場からでないとできないこともある。金融力で未来をデザインする。好きな言葉です。今は立場はガラリと変わりましたが、地域の未来を作っていく上ですごく大切なことだと思っています。

実は今、そんなことを考えていて、その考えに賛同してくださる担当者とも巡り逢い、一歩一歩小さくとも意味のある実例を作れるように頑張ってみようと思っています。

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