「わたしの上海バンスキング」写真・文：明緒

2022年10月某日読了

「わたしの上海バンスキング」
写真・文：明緒

これは凄いです。
#上海バンスキング の #串田和美 さんの奥様、
#串田明緒@akio_kushida さん が書かれた本。明緒さんが撮影された貴重な写真と共に。

一気に読んでしまいました。

私にはまとめられない分量の情報なので
エピローグから一部引用させて頂きますと、
「日本のジャズ、小劇場の黎明期。安保闘争と演劇。自由劇場と六本木の地下劇場。幼い頃から今までの、串田の記憶の断片。そして、わたし自身を。」

と、上海バンスキングに夢中になったら自然に興味が湧き、知りたいと思う事が！全部というかそれ以上に、
ぎゅうぎゅうに詰まっていました！

そして、ウワーっと思ったのが、
#明緒 さんが串田さんと出会ったその頃が、
私も、演劇に夢中になった時期だったことです。

しかしその頃、私が求める全ては終わっていた、
私は間に合わなかった、と思っていました。
#自由劇場 はまさに解散の頃でした。
#夢の遊眠社 ももうビデオにしか無いし(めっちゃ観た)
こないだ書いた #東京サンシャインボーイズ も解散するところでした。
(この辺りは串田さん達の影を追いかけた世代でしょうか、
この本には登場しません。)

そして本には、
沢山の伝説の劇団、演出家、劇作家、そして俳優達が、
あの人もこの人も串田さんに繋がっていたエピソードが！
お宝すぎです。

そして切っても切り離せない、
時代時代の社会情勢と、演劇と社会との関わりと空気感、
まさかずっと後の世代の明緒さんという方が現れて、
後になってここまでまとめて下さると誰が想像したでしょうか？

とても追えないまぼろし的な、
この何十年の演劇界の歴史、
私の中で断片的だったエピソードが、
ざざっと繋がったような充実した読後感。
すごくすごく有り難く、深く、
ワクワクゾクゾクし続けた一冊でした。

後半、2010年の再演時の様子のあたりはもう、手が震える(ような気持ち)になり、目には涙が込み上げてきてしまいます。
すっかり、私があの日の明緒さんであったような気持ちにさせられる、
遅れてやってきた観客が、気付けばすっかり、まるであのお芝居の中のマドンナのように、
みんなに囲まれている様な気持ちになれて、
生の公演には間に合わなかったけど、
これを読んだ事で惜しさと折り合いが付いた気分です。

実は、一度だけ私もこの地下の自由劇場に行った事があり、
それがこの「ダム・ウェイター」でした。
「柿上げ(こけらあげ)」という言葉が、
串田さん達が勝手に付けた言葉だなんて今日まで知りませんでした！🤣

あと、ティンゲルタンゲルだけ、
それはコクーンで見ることが出来た記憶があるのですが、
それは何年のだったのか、もう記憶が曖昧です。

でも、その時に強烈で忘れられなかった、
#小日向文世さん の #ボレロ のくだりが入っていて、
めっちゃ嬉しかった！あれはめっちゃ笑いました🤣
あれを生で観られただけで私の人生は満足です(笑)

しかし、それを含めて #シアターコクーン は名作を幾つか観ることが出来た素晴らしい舞台です。

2010年の公演の様子の描写で、
あのステージの奥行きがイメージされ、
ウワッと興奮しました。
そう、ずっと遠くからこちらにやって来る、
まるで伝説の、不忍池から上がって来るお芝居の如く、
そんな空間の広がりを感じられる劇場でした。
(でした、って長年行ってなさすぎて過去形になってしまう💦)

過去や自慢話をしたがらない串田和美さんと、
自分の話を書かない #斎藤憐 さん、
あっという間にまた、
もう観られない伝説と化してしまう「演劇」、
明緒さんがいて下さってよかった😱
語って下さいよ！もう！
男って本当大事なこと喋らないんだから！ﾌﾟﾝｽｶ!

歴史も演劇も、儚くて、
どんどん流れていってしまう、刹那的なもの。
紙の本では残せない、かもしれませんが、
私にとってはじゅうぶんに、
この本が、
「私の上海バンスキング」になりました。
これを私の本棚に納められることが嬉しい。

この私の気持ちもまたフィクション。
幻みたいな妄想ですけど😊

幾つも付箋をつけながら読みたかったのに、
付箋を取りに行く間も勿体無く読み耽ってしまった...

多分、はじめの、
串田さんと明緒さんの出会いの凄まじさで一気に夢中になったのかもしれません。

だって、そんなことってあります？
写真の、六本木にあった地下劇場の、取り壊し前の最終公演の日に　
通りかかって？
まるで不思議の国のアリスのように、
あのまさかの夢の世界の人々の中に連れ去られる(笑)なんて！

目をパチクリ、していたらご自分でも不思議の国のアリスを引用していらっしゃいました。
事実は小説よりも奇なり！

これもまた、上海バンスキングの、現実と作りものの境目が分からない世界の続きのようです☺️

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明緒さんが一番好きだと言う串田さんの言葉が！

こんなに夫を理解する奥様っているかしら！？ムネアツ！