書いてスッキリ手放す
「今回は手帳が主人公」
『成り切れました!』
「過激なキャラや」
『たーしかに確かに』
「意図して書いたん?」
『ああなっちゃったよ』
「手帳から聞こえそうや」
『あはは~喧しいね』
「手帳に書いたら、後は忘れてかまへんいう件があったやろ。あれ、ええな」
『新卒入社の配属先が手帳を扱う部署でさ。部長さんが言ったのよく覚えてる』
「フジさん、手帳売っとったんか」
『社名入り手帳だよ。懐かしいなぁ』
♡♡♡
こんにちは!
フジミドリです☆
昨日の私物語は手帳目線でした。
無機物である手帳から、自分がどう見えるのか、手帳と対話して理解を深めたい……
どうやら奇妙な試みのようです。
では、いつものように、イラストを描いて下さる朔川揺さんと創作談義始めましょう。
♡♡♡
「社名入り手帳の営業いうて、まぁ想像つく仕事やけど、具体的にどないやねん」
『電話アポとって売り込み。原稿やり取り。納期が厳しいの……間に合わないから、車で届けたことあったっけ』
「配るの年末や」
『集中するわけよ』
「それ以外は暇」
『手帳はヒマでも』
「他にあるん、売るの」
『コンサルやセミナー』
♡♡♡
かれこれ40年前です。
思い出します。初出勤の日。満員電車に揺られ、身の引き締まる感覚がございました。
そして今──
これから社会へ巣立つ若者と、引退を間近に控えた高齢者。私は今ここにあり、二人を眺めているのです。
仕事は、苦しく辛い時もございました。同僚と笑い合ったり、意見をぶつけあったり、様々な記憶が思い浮かんで参ります。
♡♡♡
『うっすらなのよ』
「その時は熱うても」
『感情が消えちゃった』
「喉元過ぎればや」
『死後の世界があるとしたら、生きてた時の体験って、こんな感じに薄まるだろうね』
「なんや茫漠として、虚しうなるいうか、ちょっと怖い気してくるで」
『死んで焼かれて脳が灰になる……記憶は消えるから。何が残るって話』
「それが、フジさんずっと書いてきた、仙骨から発露される中真感覚いうわけや」
♡♡♡
道術家である私は、いつでも仙骨を意識するように心掛けております。
とかく頭を使って考え、心は煩わせ胸が痛みます。そこで、肚へ落とすのです。
今回も、イラストが届いてから、仙骨を意識致しました……スッと浮かんで参ります。
花言葉は何だろう?
♡♡♡
「水芭蕉は、美しい思い出やったん」
『ググって調べたわけですよ』
「読ませてもろた時は、書いてへんな」
『知ったら折り込みたくなってさ』
「苦しく辛い過去だけやあれへん。美しい思い出も無機質な事実へ変わる、やったな」
『あはは~スビバセン。苦し紛れです。今読み返すと、なんか恥ずかしいけどさ』
「せやけど、これも決まっとったんや」
『中真のオレは折り込み済みだよ』
「俯瞰できると人生面白いな」
『なかなか出来なかったりするけど』
♡♡♡
出来事の渦中にあれば、感情が波立ち、心は千々に乱れるものでございます。
ところが、過ぎ去ってしまうと、淡い印象が微かに浮かぶだけではありませんか!
本当にあったこと──確かに起こったはずだけれど……訝しむ私がおります。
♡♡♡
「よくあるな」
『でも、不思議』
「何がやねん」
『なんで記憶は薄れる?』
「そういうもんやろ」
『確かに。けどさ』
「素通りでけへん?」
『日常に真理が潜む!』
「言うてカッコええ思たやろ」
『何をおっしゃる兎さ~ん♪』
「歌って誤魔化すんやない」
『スビバセン。バレテーラ』
♡♡♡
素通りすれば、確かに起こったはずの出来事が、茫漠とした記憶の荒野へ消え去る。
そんな情景が浮かんで参ります。
手帳に書き留め、時折パラパラ読み返すと、揺れ動く感情も再現できる。
理解しそびれた真理の欠片を拾えたら
本当の自分へ戻る道筋は見つかる──
そんな気が致します。
♡♡♡
「戻る道筋、あるんか」
『一人ひとり違うよ』
「自分が探らなあかん」
『コンビニで売ってない』
「戻る道筋、一つ下さい」
『温めますか?』
「んなもん、温めんなや」
『ほっかほかの道筋!』
♡♡♡
正しい道筋がある
答えは一つしかない
誰でも同じなのだ
私たちは教育によって、そのような既成概念を持たされた──そう感じるのです。
長年、受験業界に身を置いた私だから、そんな思いが強くあるのでしょうか。
♡♡♡
「塾の先生やるんも偶然やない」
『そう。そうなんだよ。正に!』
「成り行きや思う人、多いけどな」
『そう捉えると悩んで迷って苦しいね』
「自分が選んで生まれてきたいうあり方やったら、意識は次の世界へ向かうんやな」
『手帳を売ってたのも、こうして私物語書くのも、オレが選んできたことなのさ』
「うまいこと出来とるな」
『書いてスッキリ♪』
「それこそ有難いや」
『みんな、ありがとう!』
♡♡♡
お読み頂き、ありがとうございます!
次回の私物語は4月16日午後3時、こちら翌17日午後6時です。