自己分析は、あくまでも、今時点のもの。 | 就活交換日記
これは、葛藤を抱えながら就活している大学生と、東京で働くクリエイティブディレクターとのリアルな交換日記です。今の就活生が感じる心の揺らぎと、社会人からのさりげないエールをお楽しみください。
前回までの就活交換日記
知り合いのお姉さんに「あなたは、まだまだお子ちゃまだね」と言われたことで、思わずはっとしたという愛さん。北さんは「たしかに、自分だけがハッピーなのは違うかもしれないね。いろいろ考え、動き、失敗もしながら、大人の階段を一歩一歩上がっていって」とエールを送りました。
#12の就活交換日記はこちらから。
今週は、自己分析をしたという愛さんの日記から始まります。
登場人物
大学生の愛さん(仮)
地方文系大学に通う就活生。留学経験がある。ひょんなことから北さんと出会い、交換日記を始めることになった。様々な心の葛藤を抱えながらも等身大に就職活動を行おうと奮闘中。
クリエイティブディレクターの北さん
コピーライター歴、約20年。長年採用広報に携わってきた経験から、採用のクリエイティブをもっと面白くしていきたいという熱い思いを持っている。宣伝会議コピーライター養成講座で、求人広告クラスの講師も担当。
愛さんの今週の日記
「長い旅」
【2021年2月某日】
今週は、自分の原点に戻る瞬間が多かったと思います。
最近オンライン就活に対するやる気が本当に出てこず、このままでは世間の波に乗り遅れてしまうのではないかという小さなモヤモヤを抱いていました。大学を卒業したら働かなきゃな~とか、経済的にも精神的にも早く親から自立したいな~と思うので、就職活動をする必要性はひしひしと感じるのですが、どうしても行動に移せないのです。
そんな風に行き詰まってしまったので、自分の思いに立ち返ってみることにしました。私はどんな人間で、どんな価値観を持っていて、どこでなにをやりたいのか。自分が楽しいと思ったことや、熱意を持てたことを挙げて、クエスチョンマークを何回も投げつけて、深めます。自分の想いを”なぜならば”と言語化して説明できるようになってから、インターネットにあふれている膨大な情報との出会い方が少しスムーズになりました。様々な選択肢を自分の中で咀嚼しながら、働き方の選択を自信をもって説明できるようになりたいなと思います。
P.S. 最近、連続大河ドラマ「青天を衝け」を見始めました。渋沢栄一が主人公なので、彼の生きざまは勿論ながら劇中に登場する生き方の哲学に結構感化されています。
幼少期の栄一に、栄一の母が「自分が嬉しいだけではなく、誰かが嬉しいと、一緒にもっと嬉しくなるよ」と説いていました。就職活動も、その先の社会人としてのお仕事も、どれも他者の存在なしでは成立しえない行為なのだと思います。就活を、自分と商売の相手である他者に対して幸せを運ぶ働き方を探す長い旅だと捉えたら、就活へ向かう気分が少し楽になりました。
北さんからの就活エール
「使命感はあとからついてくる」
今週も日記、ありがとう。モヤモヤやモンモンがすごく伝わってきましたw。今年の就活はコロナの影響もあって、上手に息抜きできるかどうかも重要なポイントになりそうですね。
あと、愛さんは今週、自己分析に時間を費やしたんだね。とても良いと思います。僕は就活のとき、まったくやらなかったせいで、本当に非効率な就活をしてしまいましたから。ただね、自己分析はあくまで「今時点の自分自身を、今時点の自分の能力で分析するもの」なので、常に1割、2割程度はバッファを残しておくことをお勧めします。つまり、「私はこんな人間で、こんなことがやりたいんだー」と決めつけ過ぎないでほしいということ。
以前、心理学を学んでいる人から聞いたのですが、仕事に対する使命感は結局、その仕事に従事し、その仕事のことを考えている時間に比例するとのことでした。だから、自分の内側にもともとあるものじゃなくて、あとからついてくるものだそうです。逆を言えば、愛さんが今時点で「うーん、そこまでやりたい仕事じゃないんだけどなあ」と思う仕事であっても、数年後、その仕事にめちゃくちゃ使命感を感じながら、「これこそ、私のやるべき仕事だ!」と言っている可能性もあると思います。
そして、じつは僕自身がそうでした。コピーライターなんて大学時代は一度もやりたいと思ったことはなかったし、広告そのものもほとんど見ない、信じない人間でした。ふと就活中のご縁が重なって、この仕事に就くことになったのですが、その会社以外はクリエイティブと言われる仕事さえ、ひとつも受けてなかったくらいです。それが今では、こんなに熱くコピーを語っているw。ね、不思議なものでしょ。
追記。「青天を衝け」、面白いよね。今みたいに簡単に情報が入らない中で、彼らの好奇心やそこから生まれるエネルギーの大きさに惹かれますよねー。やっぱり若い頃は「渇き」ってやつも必要なんだなあとか思いながら、おじさんも楽しく見てました。
編集:家洞 李沙(Fanclub)
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