人が帰った部屋にはたくさんの「もしも」が充満して苦しい。
同棲をしていた部屋に、彼女が出て行ってからも一人で住んでいた時期がある。
女性はなぜあんなに荷物が多いのだろう。圧迫感を感じていた部屋にはお釣りが来るほどの僕の荷物しか残っていない。
部屋の趣味も合わなかったし、今は部屋も広々としている。良い。
「快適だ。」
1人でそんな言葉を呟いている自分の事は嫌だったけど。
夕食は音楽をかけながら自分の好きなものだけを1人で作って、1人で食べる。
「快適だ。」
聴き慣れない曲、でも声はよく聴いていたような、、そうだ「ハンバートハンバート」という歌手だった。曲名は「虎」というらしい。
何を見ても何をしても
虚ろな目は死んだ魚
吐き出されたコトバたちが
部屋中溢れて腐っている
鶏肉を捌く包丁を握る手が止まる。
部屋を見渡すと見えないはずの腐ったコトバたちが見えそうになる。
腐ってはいるが、嫌な気持ちではない。でもここにたら俺も一緒に腐りそう。
「引っ越そう。」
僕をここに留めるのも、前に進めるのも皮肉にも「コトバ」なんだ。
だからnoteやってるのかもなぁ。
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