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企画書「世界で一番優しいSNS」

この企画書はCC-BY-NC 4.0ライセンスで公開しています。

サービス名「Kindness(仮)」
タグライン「世界で一番優しいSNS」

コンセプト

純度の高いSNS(現代のアヘン)

Kindness(カインドネス)にひろがるのは世界で一番優しい世界。
あなたの投稿はThe She(AI)が見守っています。他のSNS(例えば青い鳥のマークのサービス)みたいに、怖い人や厳しい人からThe Sheはあなたの心を守ってくれます。
Kindnessは世界で一番懐の深いSNS。あなたの日常をいろんな人たちが優しく受け止めてくれます。

概要

いわゆるソーシャルネットワークサービスの革を被ったAIとお喋りサービス。ユーザーはアカウントを作成すると自動的に「Kindnessにアカウントを作成しました」といえ投稿がされる。
その投稿には1分〜36時間の間に4〜9名のアカウントから「ようこそ!」というコメントが付く。このコメントにはさまざまなコミュニケーションポイントが含まれている。

例えばこんな内容である。
「◯◯さん、はじめまして。私は普段はカフェで働いています。
よかったら◯◯さんの好きな料理を教えてくれませんか?」
「◯◯さん、こんばんわ。映画がお好きなんですね。
◯◯の映画とか見ましたか?」
「こんにちは、◯◯さん。すてきなプロフィール写真ですね!どちらで撮ったんですか?」
など。歓迎の気持ちと相手を知ろうとする質問が含まれているコメントがランダムに付く。

これらのコメントはいずれもAIが行う。各アカウントの詳細画面を見ればAIであることがわかるが、一見すると普通のアカウントに見える。
彼らもまた日々、普通の人のような投稿をしており人間に擬態しているのである。
擬態の精度を上げるため、時には運営側が投稿をする場合もある。特に肉体が必要なもの、例えばカフェでフラペチーノを撮っている写真など(画像生成では諸問題をクリアできないもの)。

AIたちはユーザーのあらゆる投稿をさまざまなキャラクターで盛り上げてくれる。リテラシーの高いユーザーはそれに気がつき嫌悪感や拒否感を持つだろう。
しかし同時に実感してしまうのだ「居心地の良さ」を。

なぜならこの世界は「Kindness」だから。
優しいのである。誰もあなたを傷つけないし拒絶しない。

ペルソナ

Facebookのグループにたまに投稿をしているイケてない自撮り画像又は自分のバイクの写真がプロフィールの人。やたら知ったかぶりや偉そうだったり攻撃的な投稿やコメントが多いが、その人の個人の投稿を見てみると3いいねしかない(その内1いいねは自分、もう一つはスパムアカウント)。
友達の総数も15〜200人でタイムラインはYouTubeの引用と政権批判ばかり。

内面

孤独である。
家族がいる、友人もいる、同僚もいる。しかしいずれの人々も表面的な付き合いしかない。本当の意味で自分と向き合ってくれる人はいるのだろうか、いやいない。
どの人も立場上の付き合いしかなく、それ故に孤独感に苛まれている。
だが、それを認められない。
認めることは自分の人生を否定することだと感じている。
だから今の付き合いを守ろうとする。立場上の付き合いだったとしても、そのつながりにすがるしかないのだ。
生きるには人生は痛みが多すぎる。

収益化

広告モデルを採用する。
だが従来の広告とは異なり、AIが運用するアカウントがまるで人間が使っているかのように広告をする。

化粧品であれば下手くそな素人写真と共に「化粧水変えてからニキビが良くなった気がする」と投稿する。
情報商材なら「ちょっと小遣い稼げちゃった」という投稿をして、それに釣られたユーザー(もまたAIが演じている)が「どうやったの?」と聞き、それに答える形で宣伝する。

一昔前に流行った「ステルスマーケティング」のパワーアップ版である。無論、アカウントの説明には申し訳程度に「このアカウントは一部非実在人物による運用をされています」と書かれている。ヘルプページの奥底には「投稿には一部広告が含まれます」と書いてある。
その事実を述べる投稿は自動的に変換される。当人に見える投稿と、他者から見た投稿は必ずしも一致しない。

機能

アカウント作成…プロフィールと名前を登録する。
そのほかにもいろいろな質問があり(好きな映画は?とか)答えているとAIがコメントで聞いてきてくれる。
その場ですぐに寂しさを紛らわすことができる。

友達追加…AIのアカウントを追加できる。他の人間のユーザーは直接見つけないとつながれない。
孤独感を忘れるための機能。

投稿…画像、コメント、動画の投稿ができる。
投稿すると必ず5いいね以上つく。投稿し続けていると閾値が上がり、だんだんとプチインフルエンサーになれる。
実際はほぼAIが反応しているだけ。
自己肯定感を高めてあげる機能。

メッセージ…運営に対してメッセージを送れる。
AIが返事をしてくれる。俺は運営も唸らせたんだぞ、という優越感を与えるための機能。

備考

思いついてしまったけれど、倫理的にどう考えてもアウトなのでやらない。だけど、僕が思いついたってことはたぶん世の中で10万人くらい思いついていて、その中で1000人くらいはプロトタイプを作り、10人くらいはリリース目前まで行くんだと思う。

誰かが「SNSはインテリのパチンコ」と言っていて、なるほどw、と思ったけれども、これは「インターネット阿片」になると思う。
頭の中で想像するに、何人かは本当に出られなくなる世界になると思う。

それは現代の分断された社会の結果だと思うし、それに対して具体的な対策もない。なんなら面倒な人はそこに閉じ込められてくれればどんなに楽になるか、とすら思う。
しかしそれは、社会の一部を麻薬漬けにして黙らせろ、と言うのと同義に感じる。

故にうちではやらない。
実行しない。

そして、現代の新しい麻薬を対策するためにこの企画の権利を僕は主張する。同様の仕組み「AIが反応するSNS」の著作権は私にある。
収益化するな。
このアイディアを実行しても金にならなくする。

それが今できることだと思っている。

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齋藤商店
齋藤商店の公式noteです。公式サイトはこちら(https://sites.google.com/view/saito-md/)です。