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口が開けられない女性へのアプローチ(臨床録)

40歳代 女性
主訴は口が2㎝ほどしか開くことができない状態
歯科治療中に顎関節脱臼(顎が外れた)ことがある

顎が外れたのは10年以上前とのことだが、今でも無理に開けようとすると痛みや、それ以上は開けないというような不安感が生じる。
他の症状としては腰部から背中、首、また鎖骨にかけての痛みがある。

頭蓋骨の領域を含めた軸骨格の機能障害が強いが、特徴的なのは左の腸骨筋がガンマループを起こして過発火している。

その腸骨筋をリリースし、ついで側頭骨と小脳テントをリリースする。
腸骨筋の機能不全が下顎のスイング機能へ影響し側頭骨へと波及していた様子。

施術後、優位に軽快。
開口の違和感消失し、5㎝ほど開くようになった。

その後、来訪時に状態を確認すると、首や背中なども含めて全体的に調子が良いとのこと。
しばらく経過観察して違和感を感じたらまたいらっしゃるように伝え、オステオパシーのセッションを終了。

クライアントからはオステオパシーも受けたいが健康のために運動がしたいということで、パーソナルトレーニングを依頼され、今は運動で身体のアライメントを改善しつつ体力を付けている。

パーソナルトレーニングとオステオパシーの割合は変動はあるが、おおよそトレ5:オステ1ほど。


ここから先は余談を書いていたら長くなってしまったので、臨床録を読みたい人は飛ばしてもらって構わないのだが、

今回のクライアントが10年以上も不調を放置していたのは、過去に医療機関を受診しても対応されなかったのと、本人自身も医療関係者で改善できる医院は無いと思ってしまっていたから、と話されていた。

オステオパシーは日本では聞きなれない療法だが、諸外国では国家資格となっている国も多い。日本では民間資格になる。

これはずいぶん大袈裟な例えだが、日本には耳鼻科や整形外科のようにオステオパシー科が存在しないので、その症状へのアプローチをどこですればいいのかが分かりづらい。
耳鼻科が無い国があると仮定して、もしそこで耳や鼻が不調になってしまった場合、何科に行けばいいのか分からなくなってしまう。

今回のケースはまさにそのような印象を持った。

オステオパシーが制度化されていない日本にとっては、日本のベーシックな医療からすり抜けてしまう人を受け止めるポジションにもなっていると感じる。
これはオステオパシーを始めとした徒手療法もそうだし、ピラティスやコンディショニングトレーニングといった健康運動もそうだと思う。

私たちの行う行動で多くの人の健康に寄与していければ何よりと思う。

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